「トリチウム」をゆるキャラ化? 復興庁、批判受け削除

小川崇、山本孝興
[PR]

 東京電力福島第一原発放射性物質トリチウム」が含まれる処理水について、復興庁は13日、安全性をPRするチラシと動画をホームページで公開した。政府が処理水の海洋放出を決めたことを受けた対応だが、いずれにもトリチウムを可愛らしく表現したイラストが使われ、「問題を矮小化(わいしょうか)している」などと批判の声が上がっていた。批判を受け、同庁は翌14日にチラシ、動画ともにホームページから削除した。

 イラストが登場するのは、「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と題されたチラシと動画。丸顔でほおを赤らめた、ゆるキャラのようなキャラクターとして描かれている。

 同庁によると、三重水素とも呼ばれ、水と一体となっているトリチウムをわかりやすく理解してもらうために表現したという。昨年10月以降に風評被害軽減のために準備し、昨年度の「放射線等に関する情報発信事業」の予算で電通に発注した3億700万円のうち、数百万円を使って作成された。

 だが、このトリチウムをキャラクター化した広報活動には「考えが浅はか過ぎる」「逆効果」と、SNSなどで批判の声も上がった。14日の国会でも「ゆるキャラを見て、安全だと意図的に誤解を生むのではないか」などの質問も出た。

 復興庁の担当者は「子どもを含め広く関心をもってもらうためのもの。専門性が高く、正しい情報を知ってもらうという理由でイラストを用いた」としていたが、同庁は批判を受け、14日夜に公開を休止した。担当者は取材に「SNSなどの批判の声を受け止め、トリチウムのデザインを修正する」としている。

 動画は4分26秒にわたり、「トリチウムは雨水や川の水、水道水などにたくさんある」「100倍程度に薄め、飲料水基準の7分の1程度にして海に流す」などと説明。世界各国の原発でトリチウムが海や大気に放出されているとし、福島第一原発の貯蔵量に比べ、「フランスのラ・アーグ再処理施設では年間16倍、韓国 月城原発では6分の1の量が放出されている」との文章も添えられている。(小川崇、山本孝興)