マリノス主将の言葉力 極意は「一度立ち止まって…」

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岩佐友
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 心に残る言葉を自然体で口にする。J1横浜F・マリノスの主将でMFの喜田拓也(きだたくや)(26)は突出した「言葉力」を持つアスリートだ。スピーチで、取材対応で、選手とのコミュニケーションで、胸に刻まれる言葉を発している。どうやってフレーズを選んでいるのか。言葉へのこだわりを聞いた。

スピーチにあえて含めたひと言

 2020年11月14日、昨季のホーム最終戦。試合後、日産スタジアムのピッチで喜田は主将としてあいさつした。その中に、こんな一節があった。

 「自分たちが信じて取り組んできたこのサッカーで勝負する。そこに何一つ迷いはありません。一人一人の気持ちを合わせて戦い抜きます」

 「一人一人の気持ちを合わせて」。これは横浜マのチャント(応援歌)の一部だ。サポーターの間でも話題になった。

 「気づいてもらえるかなと思ったけど、思いのほか気づいて頂けたみたいで」。喜田はうれしそうに振り返り、意図を説明した。

 「コロナ禍でスタジアムに行きたくても行けない。行けても声が出せない。そんなサポーターに向けて、僕らに思いは届いているということを、チャントを入れることでお伝えしたかった」

 スピーチの内容は数日前から頭の中で組み立てた。「いつも思っていることをシンプルに伝えただけ。それをどう発すれば、皆さんの中にすっと入るかを考えた」。そんな思考の過程でサポーターに寄り添う工夫が頭に浮かんだという。

中村俊輔からの金言と、言葉へのこだわり

 記憶に残る言葉は日頃の取材対応でも多い。記者の中で、昨季、特に印象的だったものが二つある。

 「(チームメートと)一度つないだ手は絶対に離しません」(昨年7月12日、FC東京に敗戦後)

 「逃げ道を探せばいくらでもあったと思うが、逃げていたら成長はない」(昨年11月16日、過密日程について問われて)

 どちらもメディアを通してチームメートに伝えたいメッセージだったのではないか。そんな疑問をぶつけてみた。

 すると、喜田はうなずいた後…

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