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処理水放出しても福島第一のタンク増設? 朝日新聞試算

福地慶太郎
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 東京電力福島第一原発から海に流す方針が決まった処理水について、政府が基本方針で定めた放射能の放出上限まで処分しても、タンクに保管する水が減らない可能性が高いことがわかった。雨や地下水の流入で増える汚染水が、処分量を上回るためだ。政府や東電は2年後の海洋放出を見込むが、同時期に満杯が迫るタンクの増設は避けられそうにない。

 政府と東電の公表資料から朝日新聞が試算した。

 政府が13日に決定した基本方針では、約2年後に海に流し始める放射性物質トリチウムの総量を、年間22兆ベクレル以下としている。これは、事故前に福島第一から排出されていたトリチウムを含む水の放出上限だ。

 東電によると、敷地内のタンクの水に含まれるトリチウムの平均濃度は、昨年3月時点で1リットルあたり73万ベクレル。単純計算すると、22兆ベクレル分は、約3万トンの水に相当する。

 一方、建屋に入り込む雨や地下水で、昨年は1日平均140トン(年間約5万1千トン)の汚染水が発生。降水量にもよるが、昨年と条件が同じなら、タンクに貯蔵する水の量は年間約2万トン増える計算になる。

 政府と東電は2025年に汚染水の発生量を1日平均100トン(年間約3万6千トン)まで減らす目標を掲げる。しかし、それを達成しても、汚染水の発生量は、処理水の放出量を年間数千トン上回ることになる。

 タンクごとのトリチウム濃度はばらつきが大きく、濃度が低い水を優先して処分すれば、放出量を3万トンから上積みできる可能性はある。一方、その場合は後で濃度が高い水を処分する必要があり、そのときに放出量は少なくなる。

 試算について、政府関係者は「厳しい結果。タンクを造らざるを得ないだろう」と受け止める。

 原子力規制委員会の更田豊志委員長は、14日の記者会見で、年間放出量を22兆ベクレル以下とする方針について「科学的な意味はない」と指摘。「関係者の合意を得た上で(放出量の)変更があるだろう」と上限の見直しの可能性を示唆した。

 東電によると、敷地内にあるタンクの容量は計約136万8千トン。先月18日時点で約125万トンの水がたまっている。昨年と同じペース(1日130~150トン)で汚染水が増え続けると、23年の春から夏ごろに満杯に達する。

 敷地内にはタンクを増設できる候補地が複数ある。建設には1~2年程度かかるため、政府関係者は「(必要なタンク数を)見込みで建設しないと間に合わない」と語った。福地慶太郎