第4回「失敗を恐れないで」 矢野デイビットさんの提言

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聞き手・藤崎麻里
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 父は日本人、母はガーナ人の矢野デイビットさん(40)は、8歳から18歳まで児童養護施設で育ち、いまは俳優やミュージシャンとして活動をしています。外国にルーツがあり、しかも親元で暮らせない子どもたちは、さまざまな「生きづらさ」に直面しますが、接し方のノウハウが施設側に十分に蓄積されているとは言えません。そこで児童養護施設職員向けの講演活動も積極的にこなし、自分の貴重な経験を伝えています。なにを伝えようとしているのか、聞きました。

 ――講演では何を伝えているのですか。

 僕はいろんな先生に会ったんですけど、本当に親身になって向き合ってくれる先生たちがいたのが、人としての財産になりました。親の愛を受けずに育っても子どもは自分が生きている世界しか知ることができないから、限られた愛であっても、受けた愛が自分の基準になります。

 特に(受けている愛が)足りない子どもだから一つ一つの記憶は強く刻まれます。大人がとる一つ一つの選択が、子どもの人生にめちゃくちゃ影響を与えます。大人の行動が子どもに絶望を与えることもあれば、希望になることもあります。その希望を子どもは絶対忘れません。

 ――体験に基づいて話すのですね。

 施設に入って数年目、環境になじめず苦しんでいた頃でした。した。夕食の支度中に、とても仲が良かった先生とけんかしたことがありました。「もう(支度を)サボる」って(言った)。そしたら、その先生が「デイビットはそんな子じゃない」って泣き出しました。一番大事な先生を裏切ってしまいました。たぶんそういう一つ一つが僕をつなぎとめていました。(そういう風に自分を信じてくれ、関係をつくってくれる人の存在は)すごく大事で、その可能性と、それがもたらす力をみんなに知ってほしいのです。

 ――先生との出会いが大きいのですね。

 子どもたちに伝えたいのは、守ってくれる大人を見つけてほしいということです。なんでも話し合える大人を見つけ、どうやってこの世界で自分の権利や居場所を手に入れられるのかを考えてほしいです。逃げる準備と場所と守ってくれる人を見つけた上で、自分の主張をしていく。そんな挑戦を学んでほしいのです。

 ――どこまで、どうやって、子どもたちの世界に踏み込むか悩む大人もいます。

 大人が思っている以上に子ど…

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