文楽人間国宝吉田簑助さん引退へ かれんな芸風で81年

向井大輔
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「義経千本桜 道行初音旅」で静御前を遣う吉田簑助さん=2009年4月、国立文楽劇場提供
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 人形浄瑠璃文楽の人形遣いで人間国宝吉田簑助(みのすけ)さん(87)が、引退することになった。国立文楽劇場大阪市)で開催中の4月公演千秋楽の25日が、最後の舞台となる。文楽協会と日本芸術文化振興会が15日、発表した。

記事の末尾で、ご本人のコメントの全文を紹介しています。

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4月文楽公演で「国性爺合戦」の錦祥女を遣う吉田簑助さん=国立文楽劇場提供、森口ミツルさん撮影

 文楽協会などによると、今月に入って本人から申し出があったという。簑助さんは「人形遣いの道を歩みはじめて今年でまる81年。持てる力のすべてを出し尽くしました」とコメントしている。

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「本朝廿四孝 十種香の段」で八重垣姫を遣う吉田簑助さん=2005年、国立文楽劇場提供

 簑助さんは1940年、6歳で文楽に入門し、桐竹紋二郎を名乗った。61年に三代簑助を襲名。女形、立ち役ともに遣ったが、特に「曽根崎心中」のお初などの娘役は表情豊かで華やか、かれんな芸風で人気を誇った。なかでも初代吉田玉男さんとのコンビは、文楽の人気が盛り返していくうえで中心的な役割を担った。

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「曽根崎心中」でお初を遣う吉田簑助さん(右)と徳兵衛を遣う初代吉田玉男さん=2002年、大阪・国立文楽劇場

 98年に脳出血で倒れたが、リハビリを重ね、翌年に舞台復帰した。80歳を超えても舞台に立ち続け、一番弟子の桐竹勘十郎さんら後進も多く育てた。

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「曽根崎心中」のお初を遣う吉田簑助さん=2010年2月、国立劇場提供

 2006年にはパリ公演などの実績が評価され、仏芸術文化勲章の最高章コマンドールを受章。09年に文化功労者、12年に日本芸術院会員に選ばれた。著書に「頭巾かぶって五十年」などがある。(向井大輔)

コメント全文

 私、吉田簑助は、2021年4月公演をもちまして引退いたします。

 1940年、三代吉田文五郎師に入門し、人形遣いの道を歩みはじめて今年でまる81年。その間脳出血で倒れ、復帰してから22年、体調が思うにまかせないこともありましたが、曽根崎のお初も八重垣姫も静御前も再び遣うことが出来、人形遣いとして持てる力のすべてを出し尽くしました。

 今まで応援して下さったお客様、支え続けて下さった文楽協会、日本芸術文化振興会の方々、同じ舞台をつとめた太夫、三味線、人形部の方々、そして何より私の門弟たち、本当に感謝しています。お世話になりました。ありがとうございました。

 皆様、どうぞこれからも、人形浄瑠璃文楽を宜しくお願いいたします。

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吉田簑助さん=2016年、滝沢美穂子撮影