自室に敷いた開始線 全力で柔道と向き合った海老沼匡

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野村周平
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 現役引退を表明した海老沼匡(パーク24)は、現代のアスリートでありながら、畳の上で侍のような荘厳さを醸し出していた。

 きっと、それは中高時代を過ごした柔道私塾「講道学舎」の影響が大きい。オフは年に1週間程度。毎朝5時半に起きて、走り、鍛えた。熱気で湯気が立ちこめる道場。息を吸うため、わずかに窓を開けた。試合前、道衣に清めの塩をかける儀式もあった。塩をきちんと三角形に盛るのは、中学生の仕事だった。

 理不尽な練習や上下関係はあった。「二度と戻りたくない時間。人生で一番つらかった」。海老沼はそう振り返るが、過酷な日々は彼の人生の芯になった。

 「勝っても負けても、負け試合にするな」。創設者の横地治男氏の言葉を深く胸に刻む。どんな強い相手にも気持ちを出して、戦い抜く。ロンドンで銅、リオデジャネイロも銅と目標の金メダルには届かなかったが、常に全力を出さんとする彼の試合を見る度に、記者席で背筋が伸びる心持ちになった。

 リオ五輪の1カ月前、スペイ…

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