嬉野に新茶の季節 昨年はコロナ禍、農家「今年こそ」

平塚学
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 全国有数のお茶の産地として知られる佐賀県嬉野市で新茶の収穫が始まっている。今年の出来を占う最初の入札会では一番茶に過去最高の値がついて、上々の滑り出しになった。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて売り上げが激減した産地も、今年は販売拡大に期待する。

 入札会が開かれた10日、嬉野の温泉街を見下ろす高台の斜面の茶畑では、鮮やかな黄緑色の新芽が伸びていた。3ヘクタールの茶畑で無農薬、減農薬栽培に取り組む副島園の社長副島仁さん(44)は繁忙期を前に機械の点検をしながら、「無事に収穫を迎えたい」と話していた。

 10日の一番茶の入札会では、嬉野市内にある西九州茶農業協同組合連合会(西九州茶連)に佐賀、長崎の19農家からサエミドリやナンメイなどの早生(わせ)品種3210キロが出品された。前日までに摘み取られ製茶された茶葉を、訪れた茶商が手に取り、お茶の香りや味、色を確かめた。1キロの最高値は過去最高の5万3千円で前年を1千円上回った。

 茶連によると、「うれしの茶(嬉野茶)」は佐賀・長崎両県で生産され、茶連から出荷されるお茶の登録ブランド。今年は春先の暖かさもあって入札開始が例年より10日ほど早いという。当初は早生品種の出荷が多いが、4月下旬にはそれ以外の品種も増えて出荷のピークを迎える。入札会は5月14日まで毎日続くという。

 昨年は新型コロナの流行と新茶の時期が重なり、外出自粛と宿泊業や飲食業への予約キャンセルなどの打撃がお茶の販売にも影響した。昨年の茶連の取扱高は13億1千万円で、例年の約16億円から大きく落ち込んだ。茶連は今年は例年並みの取扱高を目指している。

 茶連会長でJA佐賀中央会の金原寿秀会長は「昨年はコロナで大変な1年だった。今年は大きな天候不順もなく、良質なお茶が期待できる。消費者の求める安心安全なお茶を提供していきたい」と話す。

 副島さんも「旅館や飲食店との取引は新型コロナ前の水準に戻ってきていないが、徐々に上向きつつあり、個人客の注文も増えている。お客さんにお茶を飲んでほっとしてほしいし、今年は我々生産者にとってもいい1年になってほしい」と期待した。(平塚学)