ワクチン接種「一人じゃ行けない」 移動困難な高齢者ら

有料会員記事新型コロナウイルス

山本知佳、及川綾子、編集委員・清川卓史
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 ワクチンを打ちたいが接種会場に行けない――。自宅で暮らす介護度の重い人、体力が衰えた一人暮らしの人ら、新型コロナウイルスワクチンの接種会場への移動が難しい高齢者がいる。どのように接種し、誰がサポートするのか。多くの自治体ではまだ具体的な方針が示されておらず、不安の声もあがっている。

 14日に高齢者への接種を始めた名古屋市。高齢者施設で入居者から始める自治体も多いなか、同市は中区に住む80歳以上の人を対象に、区役所で接種を開始。自宅で暮らす人が次々と訪れている。

 同区で一人暮らしをする水谷和子さん(86)の手元にもクーポン券が届いた。だが接種予約の電話はまだかけていない。「ワクチンを早く打ちたいが、会場まで一人じゃ行けない」

 会場の区役所は繁華街の中心にある。自宅から約3キロ。介護を必要とするほどではないものの、足腰が弱って歩くのは20分が限界だし、人混みを縫って一人でたどりつく自信はない。送迎を頼める身内は近くにいない。切り詰めた生活のなかで、タクシーで往復2400円ほどになる出費はかなり痛い。

 市によれば、市内700以上の医療機関やかかりつけ医でも接種が可能になる予定だ。ただ水谷さんの普段通う病院はワクチン接種を実施しないという。水谷さんは「このままではワクチンは打てないかも」と不安を隠さない。

「解決策が見つかっておらず苦慮」

 自宅から接種場所への移動が困難な高齢者への接種は、いずれすべての自治体が向き合う課題だ。

 89歳の母親を自宅で介護する千葉市の黒川誠二さん(61)は「車イスのわずかな移動でも、母は体調を崩すことがある。集団接種の会場や医療機関に移動するのは難しい」と話す。

 母・富士江さんは要介護5で認知症の診断を受けている。介護ベッドで寝たままの状態で、点滴で24時間の栄養補給をしている。「時間はかかっても、訪問診療で接種できると信じ、待とうと思います」

 千葉市では、高齢者施設の入居者に続き、5月以降に市内300カ所の医療機関と集団接種会場での接種が予定されている。移動が難しい要介護高齢者らの接種方法について、市は「喫緊の課題と考えているが、解決策が見つかっておらず苦慮している」(医療政策課)と話す。

 想定されるのは訪問診療医による接種だ。ただ市によれば、接種後の副反応などに備えた15~30分の経過観察をどうするか、が大きな課題に。訪問先で医師が毎回待機となると、通常の診療体制に支障がでる心配があるためという。

 同様に施設接種を先行させる大阪市では、接種会場に行けない在宅の要介護高齢者らは、かかりつけの訪問診療医に接種してもらう想定という。ただ、かかりつけ医がいない、かかりつけ医がワクチン接種を実施しない場合については、「今後の検討課題」(市感染症対策課)としている。

課題解決に動き出した自治体も

 生活に全面的な介護が必要な…

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