コロナ禍、大学サークル勧誘に新機軸

新型コロナウイルス

永井啓子
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 新しい仲間をどうやったら増やせるのか。コロナ禍で勧誘活動が簡単にはできない今、京都府内の各大学で、サークルやクラブなどの先輩たちが頭を悩ませている。あの手この手を繰り出して熱視線を注ぐ先は、新入生だけじゃない。

 数人の観客を前に司会が開会を告げ、舞台上のスクリーンにダンスの様子を映した動画が流れた。最後に「是(ぜ)非(ひ)一緒に踊りましょう」の文字。4月中旬、立命館大の創作ダンスサークル「collash(カラッシュ)」による勧誘活動の一コマだ。

 「ステージの衣装代は?」「練習は参加できる時だけでも」といったやりとりを通じてサークル側が活動内容を伝えるのは、よくある光景。違うのは、司会や観客が、サークルのメンバーや新入生らのアバター(分身)だということ。すべて、仮想現実(VR)空間でのやりとりなのだ。

 代表の3年、上田可奈子さんは「サークル単独では発信力に限りがある。このやり方なら大勢の人が来てくれる」と手応えを語る。

 VR新歓活動は、立命館大の自治組織である学友会が東京の会社にシステム作りを依頼し、初めて実現した。その名も「バーチャルブース」。サークルや部活、同好会など約400の公認団体のうち、約70団体が参加した。

 学生は、スマートフォンやパソコンなどに専用アプリをダウンロードし、5体のアバターから好きなものを選んで参加する。サークルの看板が立ち並ぶ仮想キャンパスを回り、好きな団体のブースに入れば、説明を受けられる仕組みだ。

 約8千人が入学した3日後の5日に始まり、アクセス数は14日時点で4194。新歓実行委員長の3年、石川寛太さんは「感染のストレスなしで、幅広くサークルを知ってもらえる」と話す。

 カネと労力をかけて新機軸を打ち出したわけは、コロナ禍にある。3万人以上が在籍する立命館大では、例年のサークルなどの加入率は5~6割だが、昨年入学した学生は3割にとどまった。キャンパスが長期閉鎖された影響だ。

 新2年生の上田彩夏さんも未加入の一人。運動系サークルに関心を持ったが、コロナでサークルが活動できない状況が続いたため、二の足を踏んでいた。「何かやってみたい気持ちはあるけど……」。学友会は、こうした「先輩」も新歓のターゲットにしている。

 京都女子大では、新入生オリエンテーションが開かれた5日の昼下がり、キャンパスの一角に軽快な音楽が突然流れ、鳴子の音が響いた。よさこいクラブ「京炎そでふれ!京小町」が予告なしに行ったゲリラライブの演舞で、新入生らが見入っていた。

 クラブ代表の3年、前田唯夏さんは「一度に集まる人数を制限しつつも練習を再開でき、こうして披露もできた」と喜んだ。

 京都女子大でも、昨年度の新入生のクラブ加入率は例年の半分以下の約20%。危機感から、今年は各団体のブースをキャンパス内に分散させ、ゲリラライブはSNSでも配信し、学生が安心して活動を知ることができるようにしている。

 アフレコ同好会は3月にメンバー4人が卒業し、4人に。人気アニメのキャラクターになりきって声を吹き込むユニークな活動をしてきたが、4人では題材にできる作品が限られる。「このままじゃ、やばい」とツイッターなどで活動内容を発信する自助努力を始めると、4月になって2年生から入会希望のメールが届いた。3年の藤野七緒さんは「ほっとした」。

 京都大は2日と6日に吉田南キャンパスのグラウンドで「ビラ紅(こう)萠(ほう)祭」を開いた。事前に手続きした約120団体のメンバーが、地面にひかれた白線上に距離をとって整然と並び、新入生らに勧誘ビラを配った。

 京都産業大でも新2年生の加入率が21%(例年は約6割)に落ち込んだ。8日から11日まで「新歓祭」を開き、新2年生にも参加を呼びかけた。(永井啓子)

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