市町村議選投票率、男性低く

聞き手・小野智美
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 【栃木】県内市町議選の投票率を男女別に見てみると、女性に比べて男性が低い市町が多かった。

 県内25市町の選挙管理委員会に前回議員選挙の男女別投票率を聞いた。栃木市佐野市鹿沼市など14市町で男性は女性より1ポイント以上低かった。中でも高根沢町は約4ポイント、矢板市那須塩原市は約3ポイント、女性を下回った。宇都宮市は38%で並び、日光市野木町、塩谷町もほぼ同じだった。

 25日に投開票がある那須塩原市議選の前回投票率は47・57%。年齢別に細かく見ると、体の不自由が増える95歳以上を除く全年齢で最も低いのが20歳の17・96%。次が21歳の20・21%だった。最も高かったのは72歳の71%。70代は全年代で最も高く68・36%、次が60代の63・33%だった。

 若年層は全体的に低かった。選挙権を得たばかりの18歳は27・53%。それが19歳で20・41%に下がり、20歳で1割台まで落ちた。

 30歳と31歳は2割台にとどまったが、32歳から3割台、41歳から4割台まで上った。51歳でいったん3割に下がったものの、50代全体では52・23%だった。

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 「現代日本の地方選挙と住民意識」などの著書があり地方選挙に詳しい東北大学の河村和徳准教授に男女別・年齢別投票率の背景を聞いた。

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 全国的に男性の投票率は女性より若干低くなりやすい。男性中心の社会で男性中心の選挙であることが影響している。陣営も業界団体も男性中心。男性は敵味方に分かれると同時に、地方選挙では複数の陣営と関係をもつこともある。

 「俺の地区はこの人だけど、社長の知り合いに投票しなければならない」となると、決められず、棄権する人が出てくる。働く女性が増えたとは言え、男性労働者の方が多いので、仕事で投票所に行けない男性は相対的に多くなる。

 組織に属さない女性は、家族や身近な人たちからの働きかけで票を投じる傾向があり、議員が地区代表になりやすい環境をつくっている。

 18歳の投票率は全国的に高く、初めての選挙だから行くという「初物効果」がある。親元で暮らす学生や社会人が多い大都市部は特に高い。自宅では親、友達や地域から働きかけがあるため投票所に足を運ぶ可能性が高い。

 投票率上昇には「選挙に行きましょう」と公的機関が呼びかけるだけでなく、身近な人からの働きかけ、顔を合わせた働きかけが大事。

 二十歳で投票率はずどんと下がる。県外に進学したり就職したりして、周囲の働きかけがないのが20代。誰からも頼まれず、選挙に行かなくなる。

 以前は20代後半で投票率が上がる傾向があったが、最近は30代後半にずれている。晩婚化で第1子誕生の年齢が高くなっていることが一つの要因。

 健康な若者は親元なら生活の苦労もなく政治に頼むものもほとんどないが、子どもが生まれれば保育、教育、医療、と行政に頼むことが増え、めざめていく。PTA活動などで人間関係が再構築されて働きかけも増えてくる。

 セーフティーネット(安全網)がない発展途上国では若者の政治への関心が高いが、安全網をつくってきた日本では景気が悪くても「政治が問題だ」とならず「じゃあバイトを探そう」となりやすい。自分の生活だけに目が向く。それが子育てで変わる。親元で最初の選挙を迎える18歳には、家庭で地域の課題、政治の課題を話してほしい。(聞き手・小野智美)