原発処理水の海洋放出「人権にリスク」 国連特別報告者

ローマ=大室一也
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 日本政府が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことについて、国連人権理事会の特別報告者は15日、深い遺憾の意を表明した。「放出は太平洋地域の何百万もの命や暮らしに影響を与えかねない」と批判している。

 特別報告者の発表によると、「汚染水の放出は日本の国境の内外で、関係する人たちが人権を完全に享受することに相当のリスクを及ぼす」と批判。漁業関係者や環境NGO、近隣国などの何年にも及ぶ議論や心配にもかかわらず政府が決定したことを、「とても懸念している」とした。

 また、汚染水処理技術の多核種除去設備ALPS(アルプス)は、福島第一原発のタンクに保管されている汚染水から放射性物質を完全に除去できていないとした上で、放出の前に再度処理しても「成功する保証はない」とした。

 日本政府に対しては、危険物質にさらされることを防ぎ、放出が及ぼしうるリスクの環境影響評価を行い、国境を越えた環境被害を防いで海洋環境を保護することなどを求めた。

 国連などによると、特別報告者は人権理事会の特別手続きを基に選ばれる独立した人権の専門家で、テーマ別もしくは国別に人権に関する報告を作成し、助言を与える。今回の意見は3人の専門家がまとめた。(ローマ=大室一也)