三島南、全員集合は水曜だけ 「主体性」で理想の打撃へ

山口裕起
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 薄暗くなった校庭のグラウンドに、選手たちの声が響く。「足が動いてねえぞ」「もういっちょ」

 4月14日の水曜日。三島南(静岡)は、練習の最後にシートノックをして、動きを確認しあった。平日に39人の部員全員が顔を合わせるのは、水曜だけ。久々のノックに緊張感が走った。それ以外の日は、部員を三つの班に分けて練習メニューをローテーションで回す。学校から2駅先にあるジムで1時間ほど筋トレをして直帰する日もある。

 学習時間などを確保するため、一昨年夏から始めた練習法だが、それがコロナ禍でも生かされた。

 主将の伊藤侍玄(じげん)は「ふだんから一人ひとりがテーマを持って練習をしている。休校中や練習時間が制限されても問題なかった」。部室などで選手同士が密集することも少なく、「変に不安がることもなく、いつもどおりに練習ができている」とも話す。

 毎日顔を合わせなくても、チームの結束は揺るがない。部のLINEグループをつくり、近況を報告しあっていた。

 1日2時間ほどの練習では、選手の「主体性」に重きを置く。打撃ケージ横にカメラを設置し、打ち終えた選手は隣のモニターに映し出される数十秒前の自身を見てスイングを確認。それを繰り返し、理想の打撃を探す。

 稲木恵介監督は「指摘されるよりも自分で確かめるのが一番。フォアグラの味をいくら説明されても結局は食べればわかる。それと一緒だと思うんです」。機材は10万円ほど。女子バレー部が使用しているのをヒントに、3年ほど前に学校に購入してもらった。

 今春、創部100年の節目に21世紀枠で選抜大会に初出場した。1回戦で鳥取城北に2―6で敗れたが、先取点を奪うなど善戦した。伊藤は「田舎の僕たちでも工夫して練習すれば甲子園でも戦えた。ほかの公立校の励みになってくれたらうれしい」。夏は出るだけでなく、「甲子園で1勝」をめざしている。(山口裕起)