朝食の準備、娘の送り出し…「起きてもいいことがない」

中島美鈴
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 布団の中でも目は覚めるものの、起きた後にやらねばならないことがおっくうすぎて、なかなか布団から出たくないことってありませんか。「起きてもいいことがない」と思ってしまうからです。でもご褒美があったら、気持ちが変わってきますね。臨床心理士の中島美鈴さんが解説します。

「あーめんどくさい」義務の連続

 4月から、朝に早起きができない悩みについて、背景を下の5タイプに分けて、対処法を解説しています。

①「睡眠不足」タイプ

②「朝やることが多すぎる」タイプ

③「起きてもいいことがない」タイプ

④「もうすでに朝削れるだけ削っている」タイプ

⑤「ついつい夜更かし」タイプ

 今回は、③「起きてもいいことがない」、つまり起きた後の家事などの負担を考えると、なかなか起きる気になれないタイプです。

 リョウさんも実はこのタイプでした。

 それもそのはず。リョウさんにとって朝は義務の連続なんです。

 朝ごはんの準備や、身支度、娘の送り出しなど、どれにも新鮮味がないし、特にワクワクしません。そもそも料理がきらいなのです。身支度なんて、しなくていいなら、一日中パジャマでノーメイクで過ごしたいぐらいなのです。

 だからリョウさんは気が重くなります。

 眠いわけではなくて、現実から逃げたくて布団の中で目を閉じています。

 あと30分でも早く起きたら、全然違う余裕のある朝になることなんてわかっているのですが、それでも、寝起きの寝ぼけた意志の弱い状態の頭では、容易に現実逃避モードに突入してしまいます。

 リョウ「あーー、めんどくさい。朝ごはんどうしよ。冷蔵庫に何があったかな」

 「みそ汁の具がないかも。豆腐がないな。ごはんとおかずも……ないかも」

 こんなことをぐるぐる考えて布団にいます。

そして、布団の中にいればいるほど事態は悪化していきます。

起きたらご褒美作戦を

 さて、こんな「起きてもいいことがない」タイプには、まず試してもらうのは、「起きたらご褒美」作戦です。

 もしリョウさんが前日、「明日の朝ごはん用に」と、おいしいパンやフルーツやヨーグルトを購入していたとしたらどうでしょう?

 朝ごはんを準備するおっくう感がずいぶん減るでしょうね。

 もしリョウさんの家の炊飯器が起きる時間ごろにタイマーでお米を炊いてくれたら、どうでしょう。炊き立ての香りに包まれてスムーズに起きられるかもしれません。

 もし、タイマーセットできる全自動コーヒーメーカーがあって、指定した時間になると自動で豆を引いてくれて、抽出してくれたとしたら、どうでしょう。キッチンからコーヒーの香りと、ジョボジョボという熱湯が落ちる音が聞こえて、幸せでしょうね。

 こんなふうにご褒美かつ、朝のやることを楽にしてくれる方法を考えましょう。

 なかなか習慣になりにくいかもしれませんので、前日の何時にパンを買おうとか、米を研いでセットしようとか、コーヒーをセットしようかと決めてしまいましょう。

 アラームを設定しておくといいですね。

 この作戦で成功したらラッキーです。

 ご褒美というプラスのものに近づいていくための動機付けほど、人をポジティブにするものはないからです。しかし、このご褒美作戦も、疲れていたり、飽きてしまったりするとなかなか継続できないかもしれません。

 そのような時には、④「もうすでに朝削れるだけ削ってる」タイプの解説を見てほしいと思います。次回じっくりご紹介しますね。

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中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず)臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。