託す春 白い花文字に終止符 脱線現場近くで13年

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岩本修弥
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 今春も、兵庫県尼崎市の二つの畑に「命」と「生」の花文字が浮かび上がった。107人が亡くなった2005年のJR宝塚線(福知山線)脱線事故の現場近く。「命」は13回目の春を迎えたが、この場所では最後となる。白い花文字に込めた思いは、色々な人に届いていた。

 地元農家の松本三千男(みちお)さん(85)は09年から毎年、縦横30メートルほどの「命」を描いてきた。16年前の4月25日、歯医者から帰ると、自宅近くのマンションに電車が突っ込んだと知った。知人の別のマンション8階からは、ぺしゃんこの車両や遺体をかぶせたとみられる無数のブルーシートが見えた。「こんなことがあってええんか」とつぶやいた。

 大切な人を失った遺族や事故現場を電車で通る通勤・通学客の癒やしになれば。現場から南西約350メートルにある線路沿いの畑で、色鮮やかなレンゲや菜の花を育てることから始めた。

 事故から丸3年の08年4月25日。畑の隅に咲いているダイコンの花を見つけた。「この時期に咲く白い花なら供養になるはず」。翌年の春からダイコンの花で「命」を描くことにした。事故の犠牲者への追悼と、JR西日本の運転士に安全の大切さを訴えるという二つの意味を込めた。

 受け取ってくれる人がいた…

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