手書きの風合い、広がる共感 担当が語るひとときの魅力

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朝日新聞ポッドキャスト ひととき70年②

 今年の秋に、掲載開始から70年を迎える朝日新聞の投稿欄「ひととき」。全国から年間1万通近い投稿をいただいているため、編集部では担当記者をおき、掲載作を選んでいます。投稿の第一読者として封を切り、全投稿に目を通している原知恵子記者(名古屋本社)、北村有樹子記者(大阪本社)に、「ひととき」の魅力を語ってもらいました。朝日新聞ポッドキャストでお聞き下さい。

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Q:実は朝日新聞には東京本社のほか、名古屋、大阪、福岡の西部の本社があり、より地域に根ざした紙面を作っています。そのため、「ひととき」も各本社別に掲載作を選ぶ担当記者がいます。本日はその中から、担当歴が長く、「ひととき愛」の強いお二人に来ていただきました。

 まず、名古屋担当の原記者です。原さん、名古屋は原さん1人で選んでいるんですか。

原:いえ、5人の記者が1カ月交代で選者をやらせていただいています。

Q:気になるのは投稿が少ないんじゃないかということです。名古屋本社管内は愛知・岐阜・三重と基本3県しかないわけですよね。

原:そうですね、各本社の中ではたぶん一番投稿数は少ないですが、中身はほかの本社に劣らない、熱い投稿が届いています。

 投稿者の常連さんというのは「目に付く存在」になっていくので、不採用でも「あ、このかたまた書いてくださったんだな」「最近引っ越したんだな」「息子が進学しました」など、投稿者の身辺の状況などに気づけるのは、コンパクトな名古屋本社ならではなのではないかと思います。

Q:印象に残っている投稿や読者からの反響はありますか?

原:最近では、英語力の低下をくいとめるため、「ひととき」欄を毎朝、台所で英訳しています、という岐阜県各務原市の女性からの投稿がありました。

拡大する写真・図版台所で「ひととき」を英訳する久代京さん=岐阜県各務原市

 年齢は89歳で、25年近く毎朝ルーチンとして続けてらっしゃるという投稿でしたが、これには全国から少なくとも30通近い反響がありました。

 その反響の手紙を届けるとともに、最近、投稿の「現場」である台所にも取材に行かせていただきました。

Q:どんな方なんですか?

原:はきはきとお元気でいらっしゃって、学ぶ意欲、しっかり英語力を磨きたいという意欲にあふれてらっしゃって、最新の時事英語なども英字新聞で読んでおられた。勉強したいという心に満ちあふれた、とても素敵な方でした。

拡大する写真・図版英訳開始当初の1997年4月から一貫して、「ひととき」のタイトルは「A Good Moment」と訳している。「Good」をいれるのが久代さんのこだわりだ=岐阜県各務原市

Q:そんな方に読んでいただいているなんてうれしいですね。

 それはそうと、最近は手書きの投稿は少ないんですか。

今も手書きが主流、まねして「かしこ」

原:いえ、感触ですが7~8割が手紙で送っていただいています。もちろん、ワープロで打ったものを印刷して送ってくださるかたもいますが、大半が手書きです。

 今って大半がメールやSNSなどで安いコストで連絡を取ることができると思うんですけど、ひとときの読者のみなさんは、今でも切手を貼って、便箋(びん・せん)や原稿用紙に原稿を書いて、封筒に入れて送ってくださることが多い。

 もちろん、掲載作は、メールでも、投稿方法にかかわらず、内容で選んでいるんですが、手書きで届く投稿というものは、温かみを感じられ、その良さを感じられるのが、担当記者ならではの特権です。

 「ひととき」の読者のみなさんが、いつも素敵な手紙を送ってくださるので、私自身もプライベートで手紙を書くようになりました。

Q:僕なんかもどうしてもキーボードで打っちゃいますが、書いてみると手紙っていいものですか。

原:そうですね、手書きの字だと温かみというか、人となりというか、それが感じられていいなあとすごく思います。

 手紙の形式なども学ばせていただいています。私はいま30代でちゃんとしたフォーマットで手紙を書くなんてほとんどしてこなかったんですが、ひとときの投稿者のみなさんが、だいたい、締めの言葉で「かしこ」と書いてある。本当に素敵だなと思います。

 切手も素敵です。東海地方と…

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