高層マンション予定地に亜炭鉱跡 周辺住民と業者が対立

伊藤智章
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 愛知県春日井市高蔵寺町の高層マンション建設計画をめぐり、周辺住民と、業者の対立が続いている。日照や風害の懸念に加え、昨年12月、予定地の地下に亜炭鉱跡の空洞がみつかり、建物の安全性が新たな論点になっている。

 現場はJR高蔵寺駅から南へ徒歩約10分。戸建ての多い住宅地。昨年3月、約1300平方メートルの敷地に地上12階建て、高さ36メートルのマンション計画が公表された。計画しているのは名古屋市の不動産業者。

 現場は第1種中高層住居専用地域で、計画が直ちに法に触れるわけではないものの、住民の拒絶感は強い。戸建て計画への変更を求め、業者と交渉。敷地周辺に「建設反対」ののぼりを林立させており、市議会でも取り上げられた。

 市の建築紛争予防条例に基づき、あっせんがこれまで3回行われたが、平行線のまま。ここへきて議論になっているのは、亜炭鉱跡の対策だ。岐阜県南部から春日井市にかけ、戦前から1960年代ごろまで盛んに亜炭が採掘され、地下に空洞が残っている。

 正確な坑道の記録はないが、陥没事故が時々発生する。市によると、2010年以降、6カ所で公費による復旧工事が行われている。このほか予定地付近でも塀が傾いたり、道路が陥没したりしたほか、隣地でも空洞が見つかっている。

 住民の指摘を受け、業者は昨年8月、深さ15メートルまでの地質調査、さらに12月、深さ30メートルの追加調査をした。その結果、1カ所で12・5メートルから14メートルにかけ、高さ1・5メートルの空洞が見つかった。

 この段階では空洞の横幅や延長は不明。業者はあまり大きければ、戸建て8戸にすることも内々に検討した。最近になってさらに調査のため充てん剤を流し込んだところ、半径3・5メートル以内にとどまったことから計画を続行する考えだ。幹部は「住民の声を受け調査し、対策してきた。開発で新住民が増えれば、地域にとってもメリットがあるはず。絶対反対、といわれても困る」と話す。

 もっとも住民側は納得せず、さらに詳しい調査を要求する。空洞は水で満たされ、直ちに陥没しないことがあり、将来建物が傾いたり、周辺に被害が出たりすることが心配だという。

 高蔵寺地区住環境を守る会会長の大西勝征さん(79)は「不十分な調査や対策で建設されたら、我々もマンションを買った人も困る」と話す。地下に亜炭鉱跡が考えられる地域での開発は十分な調査を義務づけるよう、市にも要望中だ。(伊藤智章)