戦車に石投げた青年はいま ミニシアター館長が映画制作

川口敦子
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 元テレビディレクターの後藤和夫さん(69)が中東イスラエルパレスチナ問題に迫って制作したドキュメンタリー映画「傍観者あるいは偶然のテロリスト」が17日から、東京都豊島区巣鴨のミニシアター「シネマハウス大塚」で上映される。

 プロデューサーとして報道番組に長く関わった後藤さんは、引退後の2018年、高校時代の同級生6人とともに「シネマハウス大塚」を開設し、館長を務めている。

 同級生たちと青春を過ごしたのは1960年代後半。映画や芝居に夢中になり、社会への疑問をぶつけ合った仲間とふたたび同じ時間を過ごす中で、「自分も映画を作りたい」という思いが芽生えた。

 そこでテーマとして頭に浮かんだのが約20年前、パレスチナで出会った少年たちの姿だった。後藤さんが初めてパレスチナを取材したのが2000年。戦車に向かって丸腰で石を投げていた少年や、自爆攻撃で弟を失ったと話す青年らが忘れられなかった。

 段ボールに眠っていた当時の取材テープ約200本を見返すと、必死にパレスチナの実情を追い求めていた若い自分がいた。「あの頃の私を駆り立てたものは何だったのか。いつの間にか、傍観者でいる安穏を選んできたのではないか」。

 2019年5月、現地を再訪した。ベツレヘム、ラマラなど大きな町で、00年当時イスラエル軍が侵攻し、惨状を伝えた場所だ。20年で人口が倍の200万人に増えたというガザには入れず、壁の外からその向こうにいる友人に電話をする。何が変わり、変わらなかったのか。こみ上げた思いが、映画のタイトルにつながった。大人になった青年たちと再会する場面も登場する。

 映画は25日までの9日間の上映。映画監督の森達也さんや国際政治学者の高橋和夫さんらを招き、毎日トークイベントを設ける。料金は1300円、トーク参加券は500円。上映会の日程詳細は、シネマハウス大塚のホームページ(https://cinemahouseotsuka.com/別ウインドウで開きます)に掲載されている。(川口敦子)