猿沢池の調査・保全で任意団体設立 近大の学生ら

渡辺元史
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 奈良市の名勝「猿沢池」の環境問題に取り組んできた近畿大の学生が3月、任意団体「灯と奈菜(ひとなな)」を設立した。今後は月1回程度の水質調査をし、将来は地域の人を巻き込んだ池の保全をめざす。

 参加するのは、農学部の北川忠生准教授の研究室で学ぶ学生。北川准教授らはこれまで、猿沢池や周辺の環境を調査し、池にすむ在来種を保護してきた。

 昨年9月には、魚のすみかとなる魚礁を興福寺南円堂の古瓦を再利用して設置した。生物の定着度合いを調べた翌10月の調査で、魚礁付近と魚礁がない場所とでは魚などの定着に約2倍の差があったという。

 団体名は魚礁1基に使う17枚の古瓦や、放生会がある4月17日に由来している。

 4月15日には猿沢池で、学生らが池の生物の採集と調査をした。網などでモツゴやシマヒレヨシノボリなどの在来種約100匹を捕獲した。調査は外来種のカダヤシの捕獲も兼ねていたが、水温が低く、この日は見つからなかった。最後には、池に捨てられたプラスチック容器などを片付ける美化活動もした。

 環境調査と在来種保護は、昨年度から始めた興福寺や奈良県と連携した取り組みの一環で、在来種は17日の放生会で池に戻す。同じ日に興福寺南円堂の古瓦を利用した魚礁1基も新たに設置する。さらに4基を年度内に設ける。4基に使う古瓦は、近くの商店街で展示し、利用者らに未来に伝えたいメッセージを墨書してもらうことを予定しているという。

 また、池で見つかった外来種についてこれまで近畿大が引き取ってきたが、今後は橿原市の市昆虫館で飼育展示することも検討している。

 15日の調査に参加した農学部の塩山朋奈さん(21)は「水辺の環境を取り戻せるよう、多くの人に活動を知ってもらい、みんなで環境をよくしていきたい」と話した。(渡辺元史)