同じ労働なのになぜ賠償に違い?最高裁で石綿訴訟

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阿部峻介
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 建設作業でアスベスト(石綿)を吸って健康被害を負った人と遺族1千人以上が国と建材メーカーに賠償を求めた全国20件以上の訴訟で、最高裁第一小法廷は19日に大阪訴訟の弁論を開き、神奈川、東京、京都訴訟とあわせ5月17日に判決を言い渡すと決めた。原告勝訴の判断は確定的で、どのような理由でその判断を導くかが注目される。(阿部峻介)

舞う鉱物繊維 かすむ視界 みんなが口にタオル

 数十年前のマンション建設現場には、石綿の粉が広がっていた。内装工や電工が天井を切ったり削ったりした際に落ちたものだ。左官の根子(ねこ)松太郎さん(84)が床や壁を張る前にほうきではくと、舞い上がって視界がかすんだ。建設会社に雇われた「労働者」と、根子さんのような個人事業主の「一人親方」が現場監督の指揮で体を動かす。むせるのが嫌で、みなタオルを口に当てていた――。

 労働安全衛生法上の労働者ではない一人親方についても、石綿の使用や飛散の規制権限を持つ国の責任を問えるか。これが、2008年から全国に広がった裁判の争点の一つだ。多くの地裁が労働者を救う一方、一人親方は敗訴が続いた。

メーカー責任問える新たな策

 潮目を変えたのが18年の東京高裁判決だ。「快適な職場環境」を作るという同法の趣旨を重くみて、同じ場所で働いた一人親方も保護すべきだと解釈。「規制権限を使わなかった国の賠償責任を問える」と判断し、救う流れができた。

 最高裁第一小法廷は、一人親方も救済した部分については国の上告を受理しておらず、結論は維持される見通し。根子さんは「どうすれば一人親方もきちんと救われるのか。中身のある判決を」と期待する。(阿部峻介)

 もう一つの争点がメーカーの…

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