論語の教えを現代人に 豊前で教室開く男性が解説書

小浦雅和
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 修験道などについての著書があり、福岡県豊前市で論語教室を開催している恒遠(つねとお)俊輔さん(76)が、教室で話した内容などをまとめた「仁のこころを論語に聴く」を刊行した。論語は2500年ほど前、孔子の教えを弟子たちがまとめたもの。論語の言葉の意味や教えの内容を現代社会に当てはめながら分かりやすく解説している。

 恒遠さんは、江戸時代末期に同市に私塾「蔵春(ぞうしゅん)園」を開設した儒者・恒遠醒窓の孫の孫にあたる。論語を教科書にもしていた同園は明治・大正期に築上郡で活躍した政治家、教育者を多く輩出し、約3千人が門をたたいたと言われる。

 高校の社会科教員の後、同市の求菩提資料館で館長を務めた恒遠さんは、退職後の2015年から月1回の論語教室を開催。教員や史跡ガイドボランティア、主婦らが参加している。今回の著書は、開始以来、約60回の教室で話した内容のメモに加筆して仕上げた。

 冒頭で「内容は決して古めかしくなく、現代を生きる我々が学ぶことは多い」として論語を学ぶ意義を強調している。

 「子曰(いわ)く、故(ふる)きを温めて新しきを知る――」に由来する「温故知新」については縄文時代、江戸文化、戦争について言及し、現代の我々が学ぶべき知恵があると指摘。

 「子曰く、仁遠からんや――」など、孔子が繰り返し使う「仁」については「他人を思いやる心」「弱者に寄り添おうとする心」だとする一方で、世界各国の人助けの意識などをテーマにした社会的傾向についての調査結果を引き合いに出し、日本は「仁」からは遠い悲しい現実があるとしている。

 恒遠さんは「人工透析の生活に加え、命の時間も残り少なくなり、文字で書き残したい思いが高まった。『仁』の徳をそなえた政治や、人々が互いに支え合う世界の実現を望みたい」と話している。

 四六判224ページ。1700円(税別)。通販サイトのアマゾンで販売しているほか、県内の主な書店でも入手できる。問い合わせは恒遠さん(0979・82・0639)へ。(小浦雅和)