コロナ退院者を老健施設に 「超高齢化」の理念がヒント

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池上桃子
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 新型コロナウイルスの退院患者を、介護老人保健施設(老健)で受け入れる取り組みが始まった。老健を自宅に戻るまでの「中間施設」に位置づけることで、入院期間を縮めて病床の逼迫(ひっぱく)を防ぐのが狙いだ。病床不足が深刻化した第3波を教訓に、第4波に備えようと全国約1600施設が受け入れ態勢を整えている。(池上桃子)

感染リスクは低いが、換気装置も用意

 東京都豊島区の老健施設「安寿」は3月上旬から、コロナの退院患者2人を受け入れている。

 ともに80~90代の高齢者で、感染前は自宅で生活をしていた。だが、入院中に体力や筋力が落ち、退院後は車いすが必要になった。自宅で過ごせるだけの体力を取り戻すため、まずは施設でリハビリ生活を送ることになった。

 安寿は入所定員106人の施設で、うち5人分のベッドをコロナの退院患者用に充てる。症状から回復した退院患者は感染を広げるリスクは低いが、コロナ患者以外の入所者に安心してもらうため、換気ができる簡易陰圧装置を備えた個室を用意した。

 「治療を目的とする病院と違い、老健では元の生活に戻る準備ができるまで手助けできる」と施設の担当者。症状の重い患者を診る病院の負担を減らすためにも、可能な限り退院患者を受け入れたいとの思いがあるという。

 取り組みのきっかけは、「第3波」での病床逼迫だった。

 都内では年末年始に感染が急激に広がり、高齢者施設や病院での集団感染が相次いだ。回復後に体力が戻らずに退院の準備が整わない高齢の患者や、施設から再入所を拒まれるケースが続出した。こうした患者の入院期間が長引いたことで、病床の逼迫に拍車をかけた。その結果、緊急の急性期の医療を必要としている患者を受け入れる病床が空かず、自宅療養中の患者が死亡する例もあった。

 第3波でのこうした教訓を踏まえ、都や都医師会は1月から、自宅や高齢者施設に戻るまでの「中間施設」として、老健を活用する態勢づくりに着手。老健はリハビリが受けられる上、医師が常勤するため、他の高齢者施設と違って容体の急変にも対応しやすいためだ。全国老人保健施設協会の協力も得られ、取り組みは全国に広がった。

 同協会によると、3月時点でコロナ退院患者を受け入れられる老健施設は47都道府県で約1600施設ある。都内ではこのほか、病床200床未満の中小病院約200施設も退院患者の受け入れに手を挙げているという。

 同協会の平川博之副会長は「治療を終えて元の生活に戻るまでの『流れ』をつくることが重要。病床確保のために、老健施設が担える役割は大きい」と話す。

「高齢者をコロナ患者に置き換えても有効」

 コロナ患者対応に老健を活用…

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