まるで宇宙船 フィギュアの聖地めざすものづくり拠点

今林弘
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 外観も内装もまるで宇宙船のような3階建ての建物が、高知県南国市の中心地に出現した。市のものづくり拠点施設「海洋堂SpaceFactoryなんこく」だ。仕掛け人は、アニメのキャラクターや動物の精巧なフィギュアで知られる海洋堂(本社・大阪府門真市)の名物「センム」、宮脇修一さん(63)。まずはその外観に込めた思いから聞いた。

 ――奇抜な外観です。

 コンセプトは、SF映画「2001年宇宙の旅」に登場するディスカバリー号と「スター・ウォーズ」のスター・デストロイヤー(帝国軍の主力艦)とデス・スター(帝国軍の宇宙要塞〈ようさい〉)。時がたっても色あせない両映画のような、ひと目見て期待が膨らむような姿を目指しました。

 ――1階は海洋堂の工場が入っています。

 市から1階部分を借り、製造の様子も見学できる工場にしました。金型に材料を流しこんでソフトビニールのフィギュアを作ります。量産するソフビのフィギュアは普段、門真(本社)で金型の元となる原型をデザインし、金型や製品の製造は中国国内の業者に任せています。原型から製品製造までを扱う工場は社として初めてですよ。

 ――きっかけは。

 県内の四万十町に2011年、海洋堂の歴史や作品などを紹介する町立の「海洋堂ホビー館四万十」が開館し、これまでの金型を有効利用しようと近くで小さな工房を始めました。続けるうちに、フィギュアの総合的なものづくりの場があれば、地域の魅力にもなると思い、県などに相談しました。

 ――金型もつくるのですか。

 原型の複製から作るソフビの金型は、「メッキ」や金属加工の技術が必要です。最終的な調整は、昔ながらの職人の勘や技量に任せないとあかん。しかも、そんな職人はどんどん減っています。そこで、機器類の金型などを作る高知の会社と、原型をデータ化し、デジタル技術を利用した精度の高い金型の開発を進めています。

 ――フィギュアなどを試作できる機器がそろう貸しスペースが3階に計画されています。

 海洋堂では、40年ほど前から門真に次々と模型好きが集まり、自由な雰囲気の中、才能が共鳴し合って精巧な模型の作り手が生まれました。「模型の梁山泊」とも言われました。

 今の門真には、原型や一点物作品をつくる造形師がフリーも含め約20人いて、当時の若者も今は40~60代。やはり、私たちが到達した今のレベルを出発点に、未来のフィギュアを見せてくれる若い造形師が育ってほしい。ここなら、原型づくりから製品まですぐにできる。第二の「梁山泊」を作るつもりです。

 ――創業者で父親の宮脇修さんは高知県の旧大方町(現黒潮町)出身です。

 小学生になって、私の大好きなプラモデル屋をお父ちゃんが大阪で始めました。小、中学時代の夏休みは高知に帰省。プラモデルで仲良くなった地元の子と野山を駆け回った。プラモデルを接点に人間関係が広がるのは今も変わりません。高知は「まんが甲子園」の開催で知られる漫画王国。次は「フィギュアの聖地」とも呼ばれたいですね。(今林弘)

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 みやわき・しゅういち 大阪府出身。父親の修さんが1964年に創業した海洋堂に中学卒業後入社。85年に就任した専務としての印象が強く、「センム」が愛称。社長を経て、現在は専務。3月開館の「~なんこく」を運営する海洋堂高知の社長も務める。無類のプラモデル好き。