任天堂45%高、HIS26%安 株価が映すコロナ禍
コロナ禍が続いているのに、株価が堅調だ。昨年3月に急落した日経平均株価は今年2月に30年半ぶりに3万円台に達し、今もバブル経済期以来の高値水準。ただ、業種別にみると回復格差がある。海高空低、内高外低、電高実低……。産業界を取り巻くそんな変化が値動きから浮かび上がる。
東京証券取引所は、33の業種別に株価指数を出している。昨年1月から3月半ばの急落時までの下落率、そのときの安値から今年3月末までの約1年間の上昇率を業種間で比較した。
上昇率が最も高かったのは海運で176%増(2・8倍)。最大手の日本郵船は昨年初めの約2千円から今年3月末に約3800円と倍増。海運大手3社の株価はともにコロナ禍前を上回る。上昇率が最も低いのは10%増の空運。全日空を傘下に持つANAホールディングス(HD)など航空大手は伸び悩み、株価は「海高空低」の状況だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「貿易が回復傾向で、要を担う海運株が買われている」と話す。海運業界はコンテナ輸送も活発で「空前の好況」という。モノの荷動きと生産は伸びており、自動車メーカーなどを含む輸送用機器は上昇率56%。トヨタ自動車やホンダの株価はコロナ禍前より高値にある。車の製造に欠かせない鉄鋼は88%も急騰した。
今も各国で変異ウイルスが猛威をふるい、ヒトの輸送中心の空運は苦境が続く。「世界的にワクチン接種が進まないと人の移動は元に戻らず厳しい」と藤戸氏。JR東日本やJR東海などの陸運も回復が鈍い。
感染防止と経済活動両立のため、新しい生活様式がこの1年で広がった。外出自粛が飲食・レジャー産業を直撃する一方、屋内での巣ごもり消費は好調。「内高外低」が続いている。
「あつまれ どうぶつの森」などが大ヒットした任天堂は、2020年初めの4万2740円から21年3月末に6万1810円まで45%上昇。ゲーム事業が好調なソニーも同様にコロナ禍前より大幅高だ。IT関連や、パソコンなどに欠かせない半導体関連の銘柄も追い風が吹く。一方で、旅行消費が一気に消えたエイチ・アイ・エスは26%下落した。
飲食業界では、すしやハンバ…