霧降高原道路(栃木県日光市) 動植物生息地のみち標

梶山天
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 男体山(標高2486メートル)の北東に広がる霧降(きりふり)高原を南北に貫く栃木県日光市の霧降高原道路。コーナーが連続し、四季折々の自然を堪能できるため、ドライブやツーリング客に人気が高い。

 高原道路を含めた一帯で、ひそかに人気を集めているのが約1キロ間隔で道路脇に立つ「みち標(しるべ)」だ。一つ一つに彫刻が施されている。30の彫刻はフクロウやリス、ニッコウキスゲ、カブトムシなど、ほとんどが霧降高原で見られる動植物。間伐材を使った手作り品だ。標高やナンバーも刻まれている。

 有料だった霧降高原道路が2006年に無料化されたのを機に、地元のペンションや民宿など35軒で組織する「霧降を元気にする会」が発案した。日光の自然を生かしたみち標で観光客を呼びこもうと動き出した。チェーンソーを使って彫刻などを制作するアーティストの小林哲二さん(栃木県鹿沼市)と山本和孝さん(日光市)の2人に制作を依頼。08年に完成した。

 大谷川にかかる霧降大橋から上り坂の高原通りが始まる。最初に現れるのが「竜」。ここから高さ3メートル、太さ約40センチの木彫りのみち標が次々に現れる。

 標高645メートル地点のみち標のモデルは日光東照宮の「三猿」だ。ここが畑と山林の分岐点になる。地元のお年寄りたちは「サルが畑の作物を荒らさないように願った」と話すが、サルの個体数が増えて、道路への飛び出しが多いことから、ハンドルを握るドライバーに注意を喚起するねらいもあるという。

 子どもたちが特に目を輝かすのが標高1105メートルのミヤマクワガタだ。繊細なところまで表現され、30の彫刻の中でも一番の人気ものだ。標高1245メートルに登場するのがサンショウウオ。元気にする会の山本雄一郎さん(70)は「有料道路が完成した当時、道路建設で繁殖地が寸断されたため、数百匹のサンショウウオが産卵のために道路を横断していたんだ。すごい光景だった」と懐かしんだ。

 標高1300メートルを超えたところに立つのがニッコウキスゲのみち標。近くには霧降高原キスゲ平園地がある。ここには1445段の「天空回廊」が山頂に向かって伸び、7月ごろにはパノラマのように広がる黄色のニッコウキスゲを楽しむことができる。季節ごとに様々な鳴き声を満喫できる。じっと耳を澄ますと、オオルリやキビタキなどの野鳥、エゾハルゼミ、モリアオガエルの鳴き声を聞けるかもしれない。

 みち標が登場して13年。厳しい自然にもさらされて、フクロウの親子の顔がかけるなど老朽化が進んでいる。(梶山天)

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 霧降高原道路 1976年に供用開始。日光市瀬尾から所野までの16・3キロ。栃木県道路公社が管理運営してきたが、2006年9月に無料化され、県日光土木事務所が引き継いだ。現在は県道169号栗山日光線。みち標はこの県道沿いに立っている。