HOYA元社長遺族、遺産90億円申告漏れ 国税が指摘

中野浩至
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 2015年に死去した光学機器大手「HOYA」(東京)=東証1部上場=の鈴木哲夫元社長の遺族が東京国税局税務調査を受け、約90億円の相続財産の申告漏れを指摘されたことがわかった。国税局は、鈴木氏が保有していたHOYA株を移転させたことによる相続財産の圧縮が、「著しく不適当」と判断した模様だ。

 過少申告加算税を含む相続税追徴課税は約50億円。遺族は納税したとみられる。

 鈴木氏は15年6月に90歳で死去した。関係者によると、死去する前年の14年、保有する百数十億円分のHOYA株を資産管理会社「エス・アイ・エヌ」に現物出資し、エス社の株を取得。エス社はHOYA株を完全子会社の「ティ・ワイ・エッチ」に寄付した。いずれも非上場会社だった。

 鈴木氏の遺族はエス社株を相続。相続税相続財産の価格をもとに算出する必要があるが、株価が公開される上場企業の株と違い、エス社株は時価がわからず、独自にその価値を計算しなければならない。遺族側はこれを約20億円と算出し、相続税を申告した。

 これに対し国税局は金額が少なすぎると指摘。遺族側がエス社株の価値の算定に当たり、完全子会社であるティ社が持つHOYA株の存在を十分に反映していなかったからだ。

 遺族側の算定は国税庁の通達にのっとったものだが、国税局はHOYA株を事実上相続しながらそれを十分に遺産に含めないのは「著しく不適当」と判断。合法的な節税策でも短期間で極端に評価額が減った場合などに適用される再評価規定を用いて、エス社株を算定し直した。その結果、エス社株の価値は約110億円だったとして、当初の申告との差額約90億円を申告漏れと指摘した。(中野浩至)