体操・橋本大輝、逆転優勝 演技後あおった拍手の意図は

潮智史
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 体操の全日本個人総合選手権最終日は18日、東京五輪代表選考会を兼ねて男子決勝が群馬・高崎アリーナであり、予選7位の橋本大輝(順大)が逆転で初優勝した。全6種目のうち4種目で15点台を出すなどこの日最高の88・532点で、予選との合計を173・365点まで伸ばした。0・637点差の2位は谷川航セントラルスポーツ)、3位は前年優勝の萱和磨(同)だった。予選1位の北園丈琉(たける)(徳洲会)は鉄棒で落下して負傷し、6位に終わった。今大会の得点を持ち越して戦う5月のNHK杯で、上位2人が東京五輪の団体メンバーに内定する。

 種目別の鉄棒では内村航平(ジョイカル)が15・466点で1位だった。

 予選の後、橋本の顔はゆがんでいた。4種目を終えて首位に立ちながら、あん馬で2回落下した。そこから崩れ、7位で決勝へ進んだ。予選首位の北園との点差は2・499。「優勝は不可能と考えていた」

 逆転のきっかけはくしくも、あん馬だった。

 決勝6種目で最初の演技。ポメル(持ち手)の上で倒立した際に左手が外れるミスをすると、途中から難度を落として乗り切った。「あそこから冷静な判断で試合を進められた」。流れをつかみ、跳馬から4種目連続で15点台を並べる。圧巻は鉄棒とゆかだ。長い手足を生かした大きな演技に加え、着地もまとめた。

 千葉・市船橋高3年だった2019年に世界選手権出場。北園とともに新エース候補と期待されてきた。この一冬でDスコア(難度点)を1点ほど引き上げ、6種目で37・1点。ミスなく、演技をこなせば東京五輪で金メダルを狙える水準だ。この日に出した計88・532点も世界トップクラスだが、本人は「90点も不可能ではない」。

 最後のゆかを終えたあと、会場をあおって拍手を求めた。逆転優勝を確信したからかと思いきや、「隣の鉄棒で北園君が待っていた。彼にもいい演技をさせてあげたいと思ったので」。順大の原田監督の人物評は「いい意味でひとを巻き込むのがうまくて、練習していて楽しい選手」。19歳は魅力にあふれている。潮智史