家賃値上げ禁止に無効の判決 ベルリン独自の高騰対策

ベルリン=野島淳
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 ベルリン市(州に相当)が市内の民間住宅の家賃の値上げを5年間禁止した法律について、ドイツ連邦憲法裁判所は15日、「無効」との判断を下した。家賃が10年で2倍以上にもなっていたことから、市が独自に導入した規制だった。借り手の団体は「顔を平手打ちされた」と失望を表した。

 ベルリン市の「家賃上限法」は2020年2月に施行。14年以降にできた物件を除く約150万戸について、19年6月時点にさかのぼって5年間、家賃の引き上げを禁止した。築年数に応じて1平方メートルあたりの家賃上限も決めた。

 憲法裁は、全国的に家賃を抑える法がすでに15年にできており、州が独自の規制を課す権限はないとして、無効と判断した。

 だが、市が独自に法をつくったのは、連邦レベルの法が機能しなかったためだった。平均家賃は10年間で2倍以上にもなり、特に中低所得者層の苦境が見過ごせなくなっていた。

 ベルリンの人口は約377万人で、8割以上が賃貸住宅に住む。新型コロナウイルスの流行前は年に約4万人ペースで人口が増えたが、住宅供給は追いつかなかった。欧州の主要都市では割安な不動産価格に目をつけて投機資金も流入し、家賃上昇が続いていた。

 憲法裁の判断に対し、ベルリン借家人協会は「借り手の顔への平手打ちだ。社会政策上、無責任だ」と非難するコメントを発表。ベルリン市のシェール都市開発担当相は声明で「連邦政府の任務は、効果的な家賃法をつくるか、権限を州に移すことだ」と述べた。

 一方で貸し手側は喜ぶ。ドイツ不動産連盟は、家賃上限法で投資家らが不安になるなどして「賃貸住宅の供給が激減し、ベルリンでアパートを探すのが難しくなった。改修工事も中断された」として、憲法裁の判断を歓迎する声明を出した。(ベルリン=野島淳)