欧州サッカー強豪12チームが新リーグ合意か 分裂危機

ロンドン=遠田寛生
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 欧州サッカー界が分裂の危機に立っている。

 英BBCなどは18日、欧州の強豪12クラブが、新リーグ構想として水面下でうわさされてきた「欧州スーパーリーグ」の参加に「合意」したと報じた。

 参加を表明したとみられるのは、イングランドプレミアリーグから最多6クラブ。アーセナルチェルシーリバプールマンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティー、トットナムの名前が挙がっている。

 スペイン1部からはアトレティコ・マドリードバルセロナレアル・マドリードイタリア1部からはACミラン、インテルユベントスの名前がある。

 新リーグ構想は、欧州サッカー連盟(UEFA)が手がけるチャンピオンズリーグ(CL)の運営に不満を訴えるクラブ間で話し合われてきた。実施に向けて、投資銀行の関与や多額の放映権料をとりつけたとのうわさもある。

 AP通信によると、現在浮上している案は20クラブで行われる。資金力が豊富な15クラブは固定し、残り5クラブは流動的になる。

 15クラブには立ち上げ金として、最低でも35億ユーロ(約4550億円)がそれぞれ支払われるという。形式は2グループに分かれての総当たり戦で、上位によるプレーオフもある。

 実現すれば、欧州のトップクラスが定期的に顔を合わせるイベントとして、人気を呼ぶ可能性が高い。一方で、それは現行の欧州CLを崩壊させる。

 報道を受け、各方面で一斉に非難の声が上がった。

 「いくつかのクラブが、スーパーリーグといわれる構想を発表しようとしている。今は社会において連帯が求められている。結束して、私利私欲のために動く少数のクラブのシニカルなプロジェクトを止める」

 UEFAはイングランドスペインイタリアの各サッカー連盟やリーグと共同声明で宣言した。

 警告もした。「実現させないために、司法やスポーツの観点からあらゆる面での対策を検討していく」。法的手段はもちろん、各国内リーグや大会、国際大会での出場禁止、所属選手は各国・地域の代表活動に参加できない措置をとる。

 イングランドプレミアリーグは共同声明とは別に、単独声明も発表した。「イングランドや欧州の各クラブのファンは、いつか自分たちのクラブが頂点に立ち、世界と戦うことを夢見ている。スーパーリーグはこの夢を壊す」

 首脳たちも反対の声を上げた。英国のボリス・ジョンソン首相は自身のツイッターで「新リーグの計画はサッカー界に損害を与える」。

 フランスエマニュエル・マクロン大統領はロイター通信に「スポーツが生み出す価値や、連帯の原則を脅かすプロジェクトへの参加を拒んでいるフランスのクラブの姿勢を歓迎する」と声明を出した。フランスのクラブはドイツとともに参加を表明しておらず、UEFAから感謝されている。

 元イングランド代表で、マンチェスター・ユナイテッドで主将も務めたガリー・ネビル氏は、英スカイスポーツの番組で痛烈に批判した。「とてもむかついている。それぞれの欲でしかない。彼らは詐欺師だ。(名前が挙がった)クラブのオーナーたちは、この国のサッカーとは何の関係もない。100年もの間、クラブとともに暮らし、愛してきたファンを守らなければいけない」

 国際サッカー連盟(FIFA)も新リーグには反対だ。構想が報道で出た1月、参加したクラブや選手はワールドカップや各連盟の大会などに出場させない態度を示していた。

 UEFAは19日に理事会を開く。欧州CLについても話し合う予定だが、新リーグへの対策を協議する予定で混乱は必至だ。(ロンドン=遠田寛生)