すべての写真は遺影になる 石内都、原点に戻る個展
田中ゑれ奈
目には見えない時間を捉える写真は、いつかみんな「遺影になる」。遺品や建物、身体などのシリーズで知られる写真家・石内都(1947年生まれ)の関西初の大規模個展「見える見えない、写真のゆくえ」が、兵庫・西宮市大谷記念美術館で開催中だ。
被爆者の遺品を写す「ひろしま」や赤線跡を被写体とした「連夜の街」といった代表作を始め、テーマの異なるシリーズ同士を組み合わせて空間を構成した今展。今月3日、石内は小説家・小川洋子と同館で対談し、「初めて写真の原点に戻る感じがあった」と位置づける展示の全容と制作の軌跡を語った。
すでに無数の表現者が挑んできた広島というテーマを扱うことには、迷いもあった。だが、「教科書的なモノクロ写真とは全然違ってた。色があるじゃん、って」。2007年の広島訪問で受けたその衝撃から、ライフワーク「ひろしま」は始まった。
焼け焦げ、血に染まった洋服…