100年以上のなぞを解明 目の水晶体が透明なわけ

神宮司実玲
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 目のレンズ(水晶体)が透明になる仕組みを、東京大の水島昇教授のグループが解明した。水晶体は、光の直進を妨げている「細胞小器官」が分解されてつくられるが、分解の仕組みは100年以上なぞのままだった。

 細胞には、エネルギー分子をつくるミトコンドリアや、たんぱく質を合成する小胞体といった膜に包まれた細胞小器官が詰まっている。

 これらが分解される際は、一般には「オートファジー」という細胞内のリサイクルの仕組みが使われる。水島さんは、大隅良典東京工業大栄誉教授とオートファジーの仕組みを解明し、大隅さんは2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した。

 水晶体の細胞では、透明になる過程で細胞小器官が分解されていることが、100年以上前から知られていた。

 だが、分解にはオートファジーが関わっておらず、別の仕組みが働いているとみられていたが未解明だった。

 水島さんらは、実験しやすいゼブラフィッシュを使い、水晶体の細胞で多く使われる遺伝子を60種類以上特定。これらを一つ一つ壊して水晶体を観察していくと、脂質を分解する酵素をつくる遺伝子が欠けた時に細胞小器官が分解されず、水晶体が白く濁ったり、光の屈折異常がみられたりした。

 この酵素の仲間はほかの脊椎(せきつい)動物にもあり、マウスでもこれが欠けると、白濁などが生じた。

 水島さんは、「脂質を分解する酵素は脊椎動物に広く備わり、水晶体以外にも存在する。オートファジーとは異なる、細胞内の分解システムの理解につながるだろう」と話した。

 研究成果をまとめた論文は、英科学誌ネイチャー電子版に14日付で掲載された(https://doi.org/10.1038/s41586-021-03439-w別ウインドウで開きます)。(神宮司実玲)