建築年代示す墨書発見 重文の「尾崎家住宅」 湯梨浜町

石川和彦
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 国の重要文化財「尾﨑(おさき)家住宅」(鳥取県湯梨浜町宇野)の主屋から、住宅が1739年ごろに建てられたことを示す墨書が発見され、15日、現地で報道機関向けの説明会があった。建築年代が明確になったことで、山陰にある重文の民家建築との比較研究に役立つものと期待されている。

 墨書は、主屋の縁側付近の柱と差し鴨居(がもい)をつなぐ板状の部材「引き独鈷(どっこ)」(縦約7センチ、横約19センチ、厚さ約3センチ)にあった。部材の表面に、元文4(1739)年9月2日、河原(かわら)村(現在の鳥取市青谷町日置周辺)の大工・善助がつくったと書かれていた。

 住宅ではこれまで棟札は見つかっていない。尾﨑家の家伝書や建築様式などから18世紀中ごろに建てられたとみられてきたが、それを裏付けるものとなった。

 住宅は大庄屋の屋敷で、2017年度から10年計画で、主屋など9棟の保存修理工事が進められている。その一環で建物の一部を分解して部材を取り外した際、今年3月に墨書が見つかった。

 工事の設計監理と調査を担っている文化財建造物保存技術協会の佐藤武王(たけお)・事業部副参事は「建物と一体の国の名勝庭園『松甫園(しょうほえん)』の作庭年代を研究する際の指標になる。山陰に残り、建築年代がわかっている重文の民家建築との比較研究もできる」と建築年代が明確になった意義を説明している。(石川和彦)