NASAの火星ヘリ、飛行実験に成功 約3m浮いて着地

ワシントン=合田禄
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 米航空宇宙局(NASA)は日本時間19日夕、火星で小型ヘリコプター「インジェニュイティ(創造力)」を飛行させる史上初の実験に挑み、成功させた。ヘリはプロペラを回転させて浮上し、着陸した。飛行中に撮影した画像も地球に届いた。NASAは今後も実験を重ね、空から火星を探査したり、物資を輸送したりするノウハウの確立を目指す。

 ヘリは重さ約1・8キロ。炭素繊維でできた2対のプロペラと太陽光パネル、カメラを備えている。2月に着陸した探査車「パーサビアランス(忍耐)」に搭載されていた。

 火星の大気は地球の1%ほどしかなく、地球で例えるとエベレストの3倍の高さの大気と同じくらい。このため、ヘリが浮力を得るにはプロペラを高速回転させる必要があった。

 この日の実験で、ヘリが地上から約3メートル浮上し、30秒間にわたって安定してホバリング(空中で静止)したことを示すデータが届いた。画像も断続的に撮影。近くで見守る探査車から、浮上するヘリの動画も送られてきた。人類が地球以外で動力つきの飛行実験をしたのは初めて。NASAは今後1カ月ほどかけて飛行実験を繰り返す予定だ。

 火星での飛行技術が確立できれば、探査車ではたどり着けない地形の偵察も広範囲にできそうだ。人が火星に行ったときの移動手段になるかもしれないと期待されている。

 飛行実験は当初、9日の予定だったが、プロペラを試しに回転させたところ、警報が作動したため延期になっていた。(ワシントン=合田禄)