交通事故リスク×高齢者人口 家庭訪問で重点啓発

森下友貴
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 高止まり傾向にある高齢者の死亡交通事故に歯止めをかけようと、埼玉県警は過去の事故発生情報を分析するシステムを新たに導入した。高齢者が事故に遭うリスクが高いエリアが一目で分かる仕組みで、県警は今月から、システムを活用して高齢者の自宅を直接訪ねて交通安全を呼びかける取り組みを始めた。

 「ごめんください。交通事故防止活動の一環で訪れました」

 12日午後、警察官計20人が草加市内の高齢者宅約2千世帯を訪問した。草加署管内では今年、すでに昨年1年間の7件の半数を超える4件(18日時点)の死亡事故が発生している。

 警察官らは、夜間の外出の際は反射材を身につけることや、車を運転する際は歩行者が横断歩道の近くにいた場合は一度停車し、歩行者優先を徹底するように指導。訪問を受けた豊田重治さん(75)は「家の近くは交通事故が多い。横断歩道では手を上げて渡るなど交通安全に気をつけたい」と話した。

 県警によると、導入したシステムでは交通事故の発生情報と高齢者の人口密度のデータを地図上で重ね合わせ、高齢者が事故に巻き込まれやすい地域を分析。事故に遭う危険度が高い地域ほど、地図上では濃い色で表示される。事故発生情報は2016年から21年の最新のデータまでを反映。全国では、京都や滋賀など11府県の警察がすでに導入しているという。

 県内では65歳以上の高齢歩行者の死亡事故が目立っている。県警によると、16~20年の5年間に県内で発生した交通事故での歩行者の死者は278人で、高齢者が7割強の201人。今年も18日時点の死者36人のうち歩行者は13人で、高齢者が12人を占める。昨年末から今年にかけて、草加、吉川、越谷、川越署管内などで高齢者の事故が多かったという。

 県警は高齢者の死亡事故が絶えない要因を「新型コロナウイルスの感染拡大で、高齢者への交通安全教室の機会などが減ってしまったのが一つの要因」と分析。担当者は「訪問なら高齢者が外出しなくても注意喚起できる。今後は高度な分析に基づく対策を進めていきたい」と話す。(森下友貴)