漫画家が描く「きこえにくい話」 M-1にも字幕ほしい

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森直由
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 「きこえにくい映画とお笑いの話」。大阪市在住のギャグ漫画家が3月、ツイッターでこんな短編を公開した。聴覚障害があり、好きな映画やテレビ番組にもっと字幕を付けてほしいとの願いを、いつもと違うシリアスなタッチで明かした。反響が広がっている。

 大阪府吹田市出身の藤岡拓太郎(たくたろう)さん(31)。大阪芸術大学中退後に漫画家として本格的に活動を始め、これまでに「夏がとまらない」「大丈夫マン」などの単行本3冊を発刊した。2014年からツイッター(アカウント名@f_takutaro)で作品を公開し、独特のギャグセンスで人気を集めてきた。

 「きこえにくい~」は3月上旬に公開した。全15ページ。1~数ページの作品が多い藤岡さんとしては長い。

 その中で、感音性(かんおんせい)難聴だということを初めて明かした。音が小さく、ゆがんで聞こえる。「世の中の人みんなが、滑舌悪い人」という感じ、と藤岡さんは表現する。

 目の前にいる人との会話は可能だが、映画やドラマはほとんど聞き取れない。漫画を通じ、強く訴えた。

 「バリアフリー字幕を付けてほしい」

 バリアフリー字幕とは、せりふだけではなく、「爆発音がした」「楽しげな笑い声」といった重要な音声も文字で紹介するものだ。

 藤岡さんは漫画の中で「個人的にみたい作品」として、DVD版などに字幕が付いていない日本映画90作以上を列挙した。

 洋画も、健聴者向けの日本語字幕があってもバリアフリー字幕はほぼないとして、「全作品にバリアフリー字幕が収録されることを望んでいます」と求めた。

 「映画と同じくらい、お笑いが好き」という藤岡さんは、テレビのお笑い番組にも字幕配信を望む。特に「M―1グランプリ」など生放送番組に付けてほしいという。

 終盤の1ページに、藤岡さんはこうつづった。

 〈バリアフリー対応がなかなか広がらないのは、予算や手間の問題もあるとは思いますが、障害を感じている側の声が、単純にまだまだ作り手側に届いていないのだろうと思います〉

面白さに感動「もっと字幕ほしい」

 藤岡さんは5歳のとき、両耳とも感音性難聴と診断された。小学校入学前の1年間、ろう学校の幼稚部に通い、手話などを覚えた。補聴器も使ってきた。

 子どもの頃に見たテレビ番組…

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