まん延防止措置下の名古屋市長選「お願い広がらない」

関謙次、堀川勝元、松山紫乃
告示された名古屋市長選挙、コロナ対策やリコール署名など争点に
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 名古屋市で20日から始まった新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」は、25日投開票の名古屋市長選にも少なからず影響を与えそうだ。選挙といえば、有権者に近づいて直接支持を訴える手法が重視されてきたが、今回は距離をとらざるを得ず、戦略見直しも迫られている。

 「わしも若作りしとるけど72歳、応援してちょう」。4期目をめざす現職河村たかし氏(72)=減税日本推薦=は連日街頭に出て支持を訴える。リコール署名問題の影響で「これまでにない逆風」(河村氏周辺)と受け止めており、有権者と触れあえる街頭演説の重要性はむしろ増した。

 ただ20日からは、聴衆との距離を保つため、密着して写真撮影に応じるのをやめた。握手をグータッチに変え、相手の手にアルコールスプレーをかけるなど感染対策を強めた。知名度の高さから確実に「密」になるため、商店街での練り歩きはやめる方向だ。河村氏は「難しいが仕方ない。スプレーかけるのはむしろ喜ばれとる」という。

 約15万4千人のフォロワー数を誇るSNSも駆使。感染拡大後は市の対策を主に伝えていたが、告示後は選挙活動の動画を連日投稿。みそ煮込みうどんをすする様子などを発信し、若者を意識して親しみやすさをアピールする。

 事実上の一騎打ちを展開する新顔の元市議横井利明氏(59)=自民、立憲民主、公明、国民民主推薦=は「知名度で劣る」(陣営幹部)ため、ボランティアの若者とともに積極的に街頭に出るが、頼みは各党市議が中心となって支持者らを集める集会と電話作戦だ。ベテランの自民市議は「演説会に200人集めるのにその倍以上の人に声をかける。これが支持拡大につながる」と話す。

 ただ、別の市議は「感染を不安に思う支援者が多く『演説会をやめた方がいいんじゃないか』との声も増え、参加を強く呼びかけられない」。屋外での開催や、定員を半分以下にするほか感染者が出た場合に備え、連絡先の記入を求めた会場もあった。不要不急の外出自粛による人の流れの減少は、感染拡大防止には必要だが、正直悩ましくもある。ある市議は「本人の顔をみないとなかなか投票しようと思ってもらえない」と支持の広がりに影響が出ることを懸念する。

 ほかに新顔のNPO代表押越清悦氏(62)、元会社員太田敏光氏(72)は運動に変化はなく、それぞれの形で支持拡大を訴えている。(関謙次、堀川勝元、松山紫乃)