欧州サッカー新リーグ、いきなり迷走 プレミア勢が撤退

ロンドン=遠田寛生
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 一部のオーナーたちが掲げた夢は、2日ほどで音を立てて壊れ始めた。

 欧州サッカーの強豪12クラブが創設で合意した新大会「欧州スーパーリーグ」だ。20日、参加を表明していたイングランドプレミアリーグの6クラブが相次いで方針転換を決めた。

 最初に動いたのは今季プレミアで首位を走るマンチェスター・シティーだ。「正式に新リーグから撤退する手続きを実行し始めた」と声明を発表した。

 理由は明らかにしていない。ただ、参加したクラブには欧州サッカー連盟(UEFA)や国際サッカー連盟(FIFA)などが、自国のリーグ参加をはじめ全ての国内や国際大会、選手の代表活動などを禁じると警告していた。

 マンチェスター・シティーはこのままではプレミア優勝の目標がついえ、28日にパリサンジェルマン(フランス)と準決勝を戦う欧州チャンピオンズリーグ(CL)から追放される可能性も指摘されていた。

 アーセナルは理事会の名前で撤退を発表。反対するファンの声に耳を傾けた結果とし、「あなた方の声は我々にきちんと届いた」などと説明している。

 トットナムはレヴィ会長自らがファンに謝罪した。「欧州スーパーリーグへの参加表明が多くの人を悲しませ、不安にさせてしまったことを後悔する」と声明を出した。

 リバプールマンチェスター・ユナイテッドも反響を受けて撤退を公表。チェルシーは公式発表こそしていないが、英BBCによると撤退の準備に入ったという。チェルシーは27日にレアル・マドリードスペイン)との欧州CL準決勝を控えている。

 強豪12クラブが欧州スーパーリーグで合意したのは18日深夜。48時間ほどで事態は大きく動いた。

 欧州各地の選手やファンが怒りの声を上げ、イングランドではクラブの本拠周りに座り込みして抗議するサポーターも相次いだ。サッカー界以外でもジョンソン首相を筆頭とする英政府や、フランスのマクロン大統領も反対の姿勢を鮮明にした。

 20日に行われたUEFAの総会では、チェフェリン会長が新リーグ参戦クラブを警告する一方で、「誰でも過ちを犯すことはある。まだ引き返す時間はある」と呼びかけていた。

 現在も参戦を表明しているのは、スペイン1部のアトレティコ・マドリードバルセロナレアル・マドリードイタリア1部のACミラン、インテルユベントスの6クラブとなった。

 欧州スーパーリーグは開始時期は未定だが、8月から翌年5月まで20チームによって行うとしている。自国リーグに出場しながら、10クラブずつ2組に分かれて対戦し、上位による決勝大会も予定するという。

 当初は資金力が豊富な15クラブを固定し、残り5クラブは成績に応じて変えていく方向だった。プレミア勢の「脱退」により、一気に消滅する可能性が出てきた。(ロンドン=遠田寛生)