ネット中傷、投稿者特定を迅速に 開示手続き改正法成立

杉山歩
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 インターネット上で誹謗(ひぼう)中傷の投稿をした人を特定しやすくするためのプロバイダー責任制限法の改正案が21日、参議院本会議で全会一致で可決され、成立した。現在は1年ほどかかる開示の手続きが、数カ月から半年ぐらいに短くなる。来年末までに施行する予定だ。

 SNSなどでの書き込みでは深刻な被害が相次ぐ。これまで被害者が相手を特定するには、SNSなどのコンテンツ事業者と、書き込み相手が使った通信事業者プロバイダー)のそれぞれに、発信者情報の開示を求めていた。特定するまでの負担が大きく、泣き寝入りする人も多かった。

 改正法が施行されると裁判所を通じた1回の開示請求で手続きが終わる。裁判所は数カ月から半年ほどで開示の可否を決める。裁判所は書き込んだ相手の情報を消さないよう、事業者に命令を出すこともできる。開示手続きの費用負担は軽くなるという。

 被害者や事業者が裁判所の決定に不服な場合は、訴訟を起こすことができる。

 今回の改正は誹謗中傷を直接防ぐものではない。情報発信を抑える手段として開示請求が悪用される懸念もあり、「表現の自由」とのバランスをどうとるかが課題となる。成立した際の付帯決議には、事業者向けガイドラインの作成や、被害者支援制度の充実などが盛り込まれた。

 総務省が委託運営するネット上の書き込みに関する窓口「違法・有害情報相談センター」への相談は、2019年度は5198件だ。15年度以降は5千件台で推移している。名誉毀損(きそん)や著作権の侵害、住所の公開などについての相談が多いという。(杉山歩)