子どもに病気や障害があって、外出もままならない。ふだんの活動範囲は子どもの人工呼吸器のチューブが届く2メートル以内――。そんな母親たちがSNSでつながりはじめた。今国会で目指されている支援法の成立を前に、3月末に始めた署名活動に応じた人は2万5千人に達した。
東京都世田谷区の医師、久保ちひろさん(37)がツイッターを始めたのは昨年2月のことだ。きっかけは、病気や障害がある子どもの親がツイッター上で交流する「難病児ツイオフ」に参加したいと思ったことだった。
長男の祐人さん(1)は、へその緒の中に肝臓などが飛び出す「臍帯(さいたい)ヘルニア」があり、肺も十分に育っていないまま生まれてきた。退院するまでに何度も手術を受け、現在も人工呼吸器を使っている。
厚生労働省の研究班によると、人工呼吸器などの医療的ケアを必要とする19歳以下の子どもは全国に約2万人いるという。過去10年間で2倍に増えた。
活動は呼吸器が届く範囲
祐人さんは、立ったり歩いたりする練習をしているものの、行動範囲は人工呼吸器の回路が届く範囲内に限られる。ケアにあたる久保さんも、そのそばから離れられない生活を送っている。
医療的ケアが必要だと、一般の保育園では預かってもらえないことが多い。医療的ケア児も預かる障害児専門の保育園をNPOが運営していることは知っていたが、預けようと問い合わせたときにはすでに定員が埋まっていた。自宅から通える範囲にある保育所は、その1カ所だけ。長女や次女の保活のときよりも厳しい状況にがくぜんとした。
久保さんは、以前は重篤なけがや病気の急患に対応する3次救急の病院で働いていた。現在は自宅でできる、MRIなどの画像を見て診断する仕事をしているものの、「もっと社会に貢献できたら」との思いも募る。
それでも、我が子はかわいい。そんな思いをツイッターでつぶやくうちに、ほかの医療的ケア児の親たちとつながっていった。
「真面目なお話」一気に拡散
さらにもう一歩踏み出すきっ…