第15回「全米最高の地域」市長 コロナは一生に一度の好機

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米ウェストバージニア州ハンティントン=青山直篤
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断層探訪 米国の足元 第三部⑤

 豊富な石炭を生かした鉱業や重化学工業が栄え、19~20世紀の世界の工業化を牽引(けんいん)した米アパラチア地域。冷戦終結後のグローバル化の荒波を受け疲弊した地域社会は、いま「脱炭素化」を促す国際的なうねりにもさらされる。「労働に報いる政策」を掲げるバイデン米政権にとっても、こうした地域の再興は重要課題だ。戦後の復興計画になぞらえた大胆な公共投資を訴える、ウェストバージニア州ハンティントンのスティーブ・ウィリアムズ市長に展望を聞いた。

拡大する写真・図版インタビューに答えるウェストバージニア州ハンティントンのスティーブ・ウィリアムズ市長=3月4日、米ウェストバージニア州ハンティントン、青山直篤撮影

 ――米大統領選が終わった昨年11月、米紙ワシントン・ポストにアパラチア地域の8市長の連名で、連邦予算による巨額の公共投資を促す寄稿をしましたね。「ミドルアメリカ(米中部・米中間層)へのマーシャルプラン」というタイトルが印象的でした。

 「元々のマーシャルプランは、第2次世界大戦後のドイツなどの復興を支えた欧州への援助です。米国のドイツや日本への援助は、かつては敵国だった国々の復興を助け、今や我々は友好国として互いに投資をし、支え合っています。この歴史に、私は大きな希望を持ちます。人間の不屈の精神に対する信頼です」

 「ハンティントンのような町は、これまでも自力で復興に向けた取り組みを進めてきました。地域の厳しい現実に対し、まずは自分たちで正面から向き合わなければなりません。エネルギー需要が変化し、もう石炭だけに頼ることはできない。一方で、これまで地域を支えてきた石炭に背を向ける必要もありません。石炭だけに依存しない形で地域経済を多様化させ、発展させていけばよいのです」

拡大する写真・図版米ウェストバージニア州ハンティントン近郊の石炭積み出しターミナル。手前にはノーフォークサザン鉄道、奥にはタグフォーク川から続くビッグサンディー川が流れ、石炭の運搬に好適だ。石炭と鉄道、水運がアパラチア地域の命脈だった=3月4日、米ウェストバージニア州、青山直篤撮影

 「そのために教育訓練が必要なのはもちろんですが、時間がかかります。炭鉱をやめた人の誰もがIT業界に進み、プログラミングをしたいと思うわけでもない。市長としては、慣れ親しんだ地域で家族と生きる道を選びたい、という人々の選択肢を尊重できる環境を整える義務があります」

 「そこで、山間部では十分に整っていない道路や水道、高速インターネット、教育機関などについて、大規模な公共投資を求めたのが我々の『マーシャルプラン』です」

 ――人口約5万人のハンティントンは2017年、地域活性化のコンテストで「全米最高の地域社会」に選ばれました。どのような歩みだったのですか。

 「町が生まれたのはちょうど…

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