安保法違憲訴訟、被爆者が法廷で初証言

戸田和敬
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 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は違憲だとして、戦争体験者らが国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が21日、広島地裁(森実将人裁判長)であった。同訴訟では県内で初めて被爆者が本人尋問に立ち、「平和に生きる権利を奪う」と安保法の制定で受けた精神的苦痛を訴えた。

 原告は広島県内外に住む戦争体験者ら計309人。この日、証言台に立ったのは県原爆被害者団体協議会理事長の佐久間邦彦さん(76)=広島市。生後9カ月で、原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びた。当時の記憶はないが、中学1年のとき、被爆者健康手帳を申請する両親に同行した際、母から告げられた。「原爆投下時、家の土間で洗濯していて、何が起きたのかわからなかった。(佐久間さんを)連れて避難したときに黒い雨に遭った」

 就職で上京後に小説「黒い雨」を読み、「黒い雨に遭い、小学生の時に体調を崩したことと重なった。非常にショックだった」と話した。平和記念公園原爆死没者慰霊碑の碑文に触れ、「過ちは繰り返せない。戦争をしてはならない」と語気を強めた。「核兵器をたくさん保有する米国との安保法制(体制)は非常に危険。私たちの平和に生きる権利、命を奪うことにつながる」と訴えた。

 訴状によると、「集団的自衛権を行使する際の基準は極めてあいまいで、時の政府の判断によって世界中で武力行使を可能にする」として、安保法は憲法9条に違反すると主張。同法成立で憲法が保障する「平和的生存権」が侵害されたとして1人10万円の国家賠償を求めている。

 被爆者ら165人が2016年9月に提訴し、翌17年3月には144人が第2陣として、広島地裁に同様の訴えを起こしている。(戸田和敬)