豪州人3万人、感染対策で帰国足止め 国連人権委に訴え

新型コロナウイルス

シドニー=小暮哲夫
[PR]

 新型コロナウイルスの「水際対策」で国に戻れない人たちを、迅速に帰国させるべきだ――。国連人権委員会(ジュネーブ)が、オーストラリア政府にこう求めた。政府が帰国できる人数を制限していることに対し、海外在住の豪州人らが3月、「人権侵害だ」と国連に不服申し立てをしていた。

 豪政府は昨年3月から、外国人の入国を原則禁止にし、帰国する自国民にはホテルでの14日間の隔離を義務づけている。同時に隔離の管理を十分に行うためとして、週ごとの帰国枠を約6千人に設定。感染の抑制には成功している半面、新たに帰国を希望する人が出続けており、この半年は常に3万~4万人が帰国の「順番待ち」で、海外在住者に苦痛を強いている形になっている。

 こんな状況に、米国在住で帰国できていない2人が今年3月、国連に不服を申し立てた。人権に関する国際条約のひとつ、市民的及び政治的権利に関する国際規約の「何人も、自国に戻る権利を恣意(しい)的に奪われない」という条項に違反していると主張。そのうちの1人、ジェイソンさん(51)は、がんで闘病中の家族がいるが、帰れないと訴え、「情け容赦のない入境制限だ」と批判している。

 これに対して国連人権委は4月15日、暫定的な措置として、豪政府に2人を速やかに帰国させるように要請。申し立てについて最終的に判断をするために、豪政府に8カ月以内に意見を出すようにも求めた。

 男性らを支援する市民グループ「自由で開かれた豪州」の報道担当、デブ・テリスさんは「政府は2人と、同じ立場のほかの人々にも帰国を認めなければならない。(海外にいる間に)何千人もの人が親類を失ったり、失業したりしている。彼らの面倒を見ないことは、残酷なだけでなく不法だ」と話した。

 豪州では、今年1月以降の新規感染者は1日平均で約10人で、ほとんどが帰国後に強制隔離中の人たちだ。死者は1人。政府はそれだけに、現状では感染が収まらない海外からの帰国者の枠を広げることには慎重だ。(シドニー=小暮哲夫

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]