英語が上達する人はみんな… 熟練のラジオ講師がズバリ
挫折を繰り返したり、途中で諦めたくなったり。英語の学習で苦労してきた人も多いのではないでしょうか。1987年から今年3月まで続いたNHKのラジオ番組「実践ビジネス英語」の講師、杉田敏さん(77)は中学から英語を学び続けてきました。米国の新聞社や企業に勤め、国際ビジネスの最前線を英語で渡り歩いてきた経験の持ち主ですが、過去には恥ずかしい経験もしてきたと言います。そんな杉田さんがいま英語を学ぶ人にアドバイスを送ります。「自分からアクションを起こさなきゃ、何も学べませんよ」
すぎた・さとし 1944年生まれ、東京都出身。青山学院大卒業後、英字紙記者を経て米国の新聞社シンシナティ・ポスト記者や米大手PR会社バーソン・マーステラのニューヨーク本社などで勤務。NHKラジオ講座「実践ビジネス英語」の講師を、前身の番組を含めて通算33年間続けた。著書に「アメリカ人の『ココロ』を理解するための教養としての英語」(NHK出版)など。
――杉田さんは東京・神田出身。英語との出会いは同級生たちと同じ、中学1年生の時だそうですね。
「英語という新しい言語と出会い、自分の知らない新しい世界がこの壁の向こう側にあるのでは、とワクワクしました。しかし当時は教材が少ない、まさに『石器時代』。英語の先生が病気で休みがちだったことも重なって、自分で学ぶしかないと思いました。まずは学校を通じて、同い年のユダヤ系米国人の女の子を紹介してもらい、文通を始めたんです」
「すると、普通手紙は《Dear》で書き始めると思っていたら、彼女の手紙には最初に《Hi there》と書かれていた。なぜかわからず、そんな疑問を彼女にぶつけたり、言葉やフレーズを聞いたり。ユダヤ文化や米国の生活の話に新鮮さも覚え、知識を吸収することの面白さや語学の深みにどんどんはまっていきました。世界がどんどん広がる感覚でしたね」
――自ら積極的に学ぼうとしたのですね。
「現在はインターネットや動画配信サイトなど英語を聞く手段は豊富ですが、当時はなかった。生の英語を聞くにはどうしたらいいか。そう考え、浮かんだのが東京都内の教会でした。外国人宣教師の英語が聞けるからです。高校時代から通い詰めましたが、最初は何を言っているのか全然わからなかった。それでもいつか絶対理解してやる、という強い気持ちになりました」
「ネイティブの人が使う細かい表現や言葉遣いは、日本の教科書には書いていない場合が多いです。27歳から留学や仕事でアメリカに住み始めてからも、道を聞かれた時や、お店での店員との何げない会話の中に新たな発見がありました。細かい部分まで学ぶには、実際に現地で暮らしてみることも大切だと思います」
――英語がちゃんと伝わるかどうか不安になったり、失敗を怖がったりする人もいると思います。
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