聖火の到着式で知事が涙「抑え効かなく」周りは理解の声

有料会員記事

照井琢見、足立菜摘
[PR]

 松山市で21日にあった東京五輪聖火リレー到着式で、あいさつに立った愛媛県の中村時広知事は「走ることを楽しみにしていた皆さんにその機会を与えることができず、すいません」と会場に集まったランナーに頭を下げ、嗚咽(おえつ)をもらした。中村知事は22日に記者会見し、思いを語った。

 松山市では3月下旬、繁華街で新型コロナウイルスの大規模なクラスター(感染者集団)が発生し、感染者が急増。愛媛県実行委員会の要請を受け、大会組織委員会は4月14日、松山市の公道でのリレー中止を発表した。代替措置はなく、全国で初めて聖火ランナーが走らない式典のみの開催となった。

 その到着式は一般の観覧客を入れず、周囲に目隠し用のシートが張られた中で行われた。市内を走るはずだったランナー27人が「トーチキス」を繰り返し、聖火をつないだ。県実行委会長を務める中村知事は、その様子を何度も涙をぬぐいながら見つめていた。

 聖火がステージ上の聖火皿に移され、中村知事があいさつに立った。冒頭でリレーの中止を陳謝し、「なんとか開催できないかギリギリまで悩んだ。しかし、人の命を守ることが最大の使命ということで、中止を決断させていただいた」と説明した。

 時折、声を詰まらせながら、ランナーや市民に「申し訳ない」「深くおわびする」と繰り返し、「なんとか日本全国が、このコロナ禍を乗り越えて、五輪、パラリンピックの舞台を用意できることを祈っています」と結んだ。

臨時の記者会見で苦笑い

 一夜明けた22日、臨時の記者会見があった。中村知事は到着式での涙について、「申し訳ないです。無様な姿をさらしてしまって」と苦笑い。「思いをかなえることができなかったにもかかわらず、皆さんが笑顔でトーチキスをしている。そしてどんどん(ステージに)聖火が近づいてくる。あれを見て、抑えが利かなくなった」と語った。

 目の前で聞いていたランナーからは、「ちゃんと謝ってくれてうれしかった」「知事の涙と言葉を見て、運営の皆さんに感謝したいと思った」と理解を示す声があがった。

 到着式で最初に聖火をつないだ、松山市の公募ランナー大政涼さん(18)は、「中止は残念だったが、判断は良かったと思うし、知事も悔しかったんだと思う」。最後に聖火皿に点火したアテネ・北京五輪女子マラソン出場の土佐礼子さん(44)は、「知事が愛媛をスポーツで盛り上げようとしているのも知っていますし、ご自身もスポーツが好きな方。本当に知事が一番残念な気持ちなんじゃないかなと思います」と思いやった。(照井琢見、足立菜摘)

「開催できないか、ギリギリまで悩みました」

 松山市で21日にあった聖火到着式での中村知事の発言は次の通り。

 ご紹介いただきました、愛媛…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。