広島と沖縄つなぐオンライン お互いの平和、映像で学ぶ

核といのちを考える

岡田将平
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 戦後76年のこの春、広島女学院高(広島市中区)の生徒たちの沖縄修学旅行を機に、新たな平和学習の取り組みが芽生えた。オンラインで沖縄から広島へ、そして広島から沖縄へ。戦争体験者が高齢化し、コロナ禍にも直面する中、惨禍を伝え続けるため次世代が試行錯誤している。

 3月6日、同校の生徒たちが教室や自宅で見つめるパソコンに、暗いほら穴が映し出された。沖縄戦時に病院として使われたガマ(壕(ごう))だ。画面の向こうで、ガイドの女性が語った。「白梅学徒隊の女の子たちは激務のため、(元学徒は)『いつご飯を食べたのか、いつ寝たのかまったく覚えていない』という話をしてくれました。命がけの作業になりました」

 この日行われたのは、修学旅行の事前学習。沖縄戦に看護要員としてかり出され、生徒22人が犠牲となった「白梅学徒隊」について伝える「若梅会」が企画。戦場での足跡を追うように、3カ所から「生中継」し、地上戦のさなか、負傷兵の汚物の処理や食事の世話、水くみをした女学生の体験などを説明した。

 若梅会は20~50代の9人で19年に結成。元学徒の中山きくさん(92)から継承を託され、同年秋ごろから中山さんに依頼された修学旅行生向けの講話の一部を引き継いでいた。その矢先にコロナ禍となり、修学旅行のキャンセルなどで活動の機会は減った。

 「沖縄戦を学ぶ機会そのものがなくなったら困る」。広島女学院高の修学旅行に合わせ、初めて試したのが今回の事前学習だった。若梅会代表で雑誌編集長のいのうえちずさん(52)=呉市出身=は「事前学習はオンラインで十分できるとわかった」と手応えを語る。オンラインだと資料を画面で見せながら、説明もでき、効果的だと感じた。コロナ禍の後も見据え、「これからのスタンダードみたいなものにもなり得るかな」と語った。

 その後、オンラインで中山さんの講話もあり、修学旅行2日目の3月16日には、事前学習で見学した場を生徒23人が実際に巡った。鈴川葉さん(17)は、ひんやりしたガマの空気感などを体感し、「もし当時、自分がここにいたら」と想像した。現地を訪れ、肌で感じる意義を実感した一方、「オンライン学習は『知ろう』というきっかけにはなりやすいと思った」という。

 広島に帰り、広島女学院高の生徒たち自身も新たな伝え方に挑んだ。修学旅行の際、現地で沖縄尚学高(那覇市)の生徒と交流したが、感染拡大防止のため、十分語り合う時間がとれなかった。旅行後、オンライン交流会を開くことになり、急きょ広島の生徒たちが原爆の慰霊碑をガイドする動画をつくり、沖縄の生徒たちに見せた。

 住田志乃さん(17)は平和記念公園内の「原爆の子の像」を紹介する動画の制作に参加した。像の前で、広島で被爆し12歳で亡くなった佐々木禎子さんについて紹介し、像の鐘を鳴らした。「現地の空気を体感してもらえるように努力した」という。広島と沖縄、互いに戦争の記憶が刻まれる土地だが、交流を通して互いに知らないことも多いと感じたといい、「こういう機会に紹介できて良かった」と振り返った。(岡田将平)

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