「桜折っちゃダメ」慌てる前に 知っておきたい認知症

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松本一生
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 街中で「ひょっとして認知症の方かな」と思った経験はありませんか。地域で暮らす一人ひとりが、認知症当事者の行動を理解し、サポートすることができれば、認知症の当事者や家族の人権を守ることに結びつきます。どう対応したらよいのでしょう。認知症に長くかかわる精神科医の松本一生さんが解説します。

京都で出会った父と娘

 今年も私の自宅がある京都の町に花見の季節がやってきました。昨年初めて新型コロナウイルスに出会った私たちは、慎重に対応し、街中から人の姿が消え、咲き誇る桜だけが残されていました。しかし今年は店も開いています。昨年と比べると怖いほどの人出でした。京都の河原町から鴨川のほうに一本入った通りを歩いていると、川沿いに見事な桜を見ることができました。まるで川岸にある公園のようです。

 そんなある日、近所に住む知り合いの親子連れの散歩と出会いました。私と同年代の父と娘です。何度かあいさつを交わしたことがあり、短い会話からですが、その人が認知症であり、娘さんが週3回ほど隣県から実家に戻ってケアをしていることを聞いていました。

 ちょうど私が近づこうとしたその時です。娘さんが慌てて父親を止めようとしました。

 彼は手を伸ばして桜の枝を手…

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松本一生

松本一生(まつもと・いっしょう)精神科医

松本診療所(ものわすれクリニック)院長、大阪市立大大学院客員教授。1956年大阪市生まれ。83年大阪歯科大卒。90年関西医科大卒。専門は老年精神医学、家族や支援職の心のケア。大阪市でカウンセリング中心の認知症診療にあたる。著書に「認知症ケアのストレス対処法」(中央法規出版)など