第23回教師からの性暴力、命絶った娘 母は自らを責め続ける 

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編集委員・大久保真紀
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 那覇市に住む泉さつきさん(42)は、娘の日和(ひより)さんの声が聴きたくて、携帯電話の動画ばかりを見ている。

 16歳の日和さんが台所で勢いよくキュウリを切った後、刺し身を手に「どのお皿?」と笑顔を向けるところで終わる1分41秒の動画。

 よく見ると、日和さんの両手の甲にはかきむしった赤い傷がある。

 そのころ、さつきさんはその傷について「かゆいの?」とたずねたが、日和さんは「虫刺され」と答えていた。病院に行こうかと水を向けても、「大丈夫」がいつもの返事だった。

拡大する写真・図版子どもへの性暴力第4部⑦ イラスト・米澤章憲

 日和さんが「息をしていても酸素が入っていかない。苦しい」と言い出したのは、2013年、市立中学3年の夏休みのころ。その後、泣いて過呼吸になることが何回かあった。心療内科を受診。診察中も話しているとパニック発作が起きた。医師からは「何か原因があるはず」と言われたが、理由はわからなかった。服薬しながら通院を続けることになった。

 11月14日、午前8時半すぎ、学校から電話があった。「過呼吸を起こしたので、薬を持ってきてほしい」。この日は、日和さんが寝坊したため、受験対策のための朝の勉強会に、車で7時ごろに送っていた。

 学校に急ぐと、目を真っ赤に腫らし、やつれきった日和さんがいた。駆け寄ろうとすると、担任に止められた。「学年主任がいるから大丈夫」。薬を渡して学校を後にした。

拡大する写真・図版分骨した日和さんの遺灰が納められている骨つぼ。母親の泉さつきさんが、日和さんが好きだったピンク色の仏具を探してそろえた。=2021年4月1日、那覇市、吉本美奈子撮影

 夕方、帰宅した日和さんは疲れた様子だった。送ってくれた友人が「今日だけでいいので、寝ないで見守っていてください」と言った。

 「けんかしたの?」とたずねると、「そうじゃない。でも自分の口からは言えない」と友人。日和さんは何も言わなかった。

 《触れない方がいいのかな》。何も聞かずにそのまま様子を見た。

子どもたちの心身とその後の人生を脅かす性暴力について考える企画「子どもへの性暴力」第4部は、地位・関係性を利用した性暴力について取り上げます。

 翌日の夜、校長ら教員3人が…

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