足の速さは才能じゃない 陸上素人がボルトに学んだ極意

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加藤秀彬
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 陸上競技の経験はない。

 それでも、和田賢一さん(33)は昨年8月、速く走る方法を教える学校、一般社団法人「走りの学校」を設立した。

 世界最速の男から学んだ経験から、「足の速さは才能じゃない」と言い切り、プロ野球選手から幼児まで幅広く指導している。

始めて3年、ビーチフラッグスで日本一に

 和田さんはいまも、砂浜を駆けて競う、ライフセービング競技のビーチフラッグスの選手だ。

 高校までは野球部。この競技を始めたのは、大学4年生のときだった。

 「野球、テニス、総合格闘技、いろいろ挑戦したけど、うまくいかなかった。でも、瞬発力には自信があって、ビーチフラッグスは向いていました」

 すぐに、のめり込んだ。大学卒業後も会社勤めをしながら、就業前後の午前6時半と午後11時半から練習した。練習場所は、近所の公園の小さな砂場。子どもが遊ばない時間に、うつぶせのスタート姿勢から、立ち上がるまでの速さを鍛えた。

 「『何をしているんですか』と、警察官に声をかけられたこともありますね」と当時を笑って振り返る。

 成果はすぐに出た。競技を始めてわずか3年後の2012年。全日本種目別選手権で優勝した。

 日本を制し、次は世界へ歩みを進めた。世界大会でも結果が出て、14年、世界トップ選手が集まる全豪選手権に3度目の挑戦で、2位に入った。

 ところが、ここで壁にぶつかった。立ち上がる速さは互角以上でも、フラッグまでの20メートルで追いつかれてしまう。何度やっても、勝てる気がしなかった。

 優勝を逃した理由は、あきらかに走力だった。走りの追求が始まった。

世界一になりたくて、「世界最速」に直談判

 世界一になりたくて、陸上選手に走り方を学ぼうと考えた。最初は、日本の大学の陸上部や実業団に練習参加を頼んだ。

 だが、陸上の素人を受け入れるチームはなかった。「走りは才能だからね」とも言われた。

 無理なのか。あきらめかけた…

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