総裁選への布石? 自民・下村氏が自著を出版

岡村夏樹
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 自民党下村博文政調会長は23日、自らの生い立ちや政治理念などをまとめた自著を出版した。新型コロナウイルスの経験を踏まえ「幸福度」を実感できる社会の実現や憲法改正などを訴える。「政権構想本」とも言える内容のため、今秋の総裁選に向けた「布石」ともささやかれている。

 本のタイトルは「GDW興国論 幸福度世界一の国へ」(飛鳥新社)。経済的統計である国内総生産(GDP)から、精神的な豊かさや幸福度を高める国内総充実(GDW)に軸足を移すことを主張している。

 今回の出版について下村氏は21日の記者会見で「総裁選を意識した本ではない。コロナ後の新たな国家ビジョンというものをそれぞれ政治家がしっかりと樹立をする必要がある」と強調したが、党内では額面通り受け取る向きは少ない。

 下村氏は自民党の最大派閥の細田派(96人)に所属し、かねて総裁選への意欲を示してきたからだ。

 下村氏の菅政権との「距離」も臆測を呼ぶ一因になっている。1月のBS番組に出演した際には、4月の衆参の2補選について「両方負けたら政局になる」と発言した。最近では65歳以上のワクチン接種が越年する可能性に言及し、担当の河野太郎行政改革相が否定する一幕もあった。

 本には細田派出身で党内から根強い支持を集める安倍晋三前首相との対談も掲載されている。ただ、党内には「安倍氏の後ろ盾があるとアピールしたいのだろうが、今から前に出過ぎても良いことはない」(党幹部)と冷ややかな声もある。(岡村夏樹)