新天地へ「引っ越し」続々 志摩マリンランドの生き物

臼井昭仁
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 3月末に営業を休止した志摩マリンランド(三重県志摩市)で、飼育されていた生き物の「引っ越し」が本格的に始まっている。約500種約8千点のうち、すでに約4割が「新天地」へ。最終的には関東から九州にかけて、少なくとも十数カ所の水族館へ移される見通しだ。

 22日午後、志摩マリンランドに鳥羽水族館三重県鳥羽市)の職員が到着。アメリカカブトガニ、クロイシモチ、オオグソクムシなど、計10種63点をトラックに積み込んだ。同行した同館飼育研究部の高村直人課長は「いずれも元気そうなので、早めに公開ができそうだ」と話した。

 ネコザメなど一部は、22日のうちに展示用の水槽へ入れた。さらに、来月下旬には、南米・アマゾン原産のピラルクなど数種類の淡水魚を受け入れる。

 一方、志摩マリンランドが飼育していた27羽のフンボルトペンギンは、鳥羽水族館と伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市)へ移る。こちらは6月以降の「引っ越し」になる見込みだ。伊勢シーパラダイスは、飼育環境に慣れたことを確認したうえで公開するという。

 譲渡された生き物の一般公開を、すでに始めている施設もある。

 道の駅「紀宝町ウミガメ公園」(三重県紀宝町)へ来たアフリカ原産のリクガメ「ケヅメリクガメ」3匹は、16日から公開されている。愛知県碧南市の碧南海浜水族館はイセエビやサンゴ、キンメモドキなど約70種470点を譲り受けた。順次公開を始めている。

 志摩マリンランドのシンボル的存在だったマンボウはどこに行ったのか。飼育していた4匹のうち3匹は関東と関西の水族館へ。残り1匹を福井県坂井市の越前松島水族館が譲り受け、もともといたマンボウとともに専用の水槽で、14日から展示している。体長は83センチで搬送には約5時間かけた。鈴木隆史館長は「飼育が大変な生き物ということは承知の上。大事にして長生きさせたい」と話している。このほかにも、越前松島水族館はケヅメリクガメ4匹も譲り受けた。

 志摩マリンランドによると、譲渡にあたっては、生き物の交換などでもともと交流があった水族館を中心に交渉した。まだ残っている生き物についても、12月末を目標に「引っ越し」を終えたいという。現時点では、茨城県から福岡県までの各地の水族館へ散らばる見通しだ。

 里中知之館長は「ありがたいことに水族館同士のつながりのおかげで、順調に進んでいると思っている。移った先でも、志摩マリンランドにいた動物だと知ってもらえればうれしい」と話している。(臼井昭仁)

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 〈志摩マリンランド〉 1970年に開業した水族館。81年にマンボウの展示施設を設け、その飼育で知られていた。80年代の最盛期には年間40万人が訪れたが、2019年度は年間15万人にまで落ち込んでいた。累計来場者は1270万人。施設の老朽化を理由に、3月末で営業を休止したが、跡地の活用方法は未定だ。