自分がいる世界、狭かった 元東大王・林輝幸さんの後悔

聞き手・三島あずさ
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10代の君へ 「東大王」で活躍したジャスコ林こと林輝幸さん

【動画】「10代の君へ」“東大王“”林輝幸さんが語る後悔とは=遠藤啓生撮影

 小学生のころ「高校生クイズ」(日本テレビ系)を見て、超難問を次々に解き明かす高校生たちの姿に憧れました。

 僕が思うクイズの魅力は三つあります。一つは、遊びを通して知らないことを知り、見える世界が広がっていくことです。

 二つ目は、人の「横顔」を垣間見られること。映画関連の出題に強い人がいれば、どんな映画が好きか、といった会話につながり、その人の新たな一面を知ることができます。

 三つ目は、人生を肯定してくれるということです。何かの役に立つと思っていたわけではない趣味や好きなマンガなどが、思わぬところで解答に役立つことがある。自分がしてきたことや見てきた世界が認められたようで、うれしくなるんです。

 最近よく行くのが、東京・池袋にある「梟書茶房(ふくろうしょさぼう)」です。ここで売られている本は著者や題名が伏せられ、店員さんが書いたコメントだけを手がかりに選びます。中身が分からない状態で買い、「こういう世界があるのか!」という発見がある。偶然のきっかけから未知のものに触れ、世界が広がっていく感覚は、クイズとも似ています。

 クイズの魅力の一つとして、世界が広がっていくことを挙げました。僕自身も10代のころ、クイズが興味のなかった分野への扉を開いてくれました。でも実は「自分がいる世界はとても狭かった」とも感じています。

 社会にはどんな仕事があるのか、他の学生たちはどんな経験をしているのかといったことを十分に知ろうとしないまま、受験生の頃は受験だけ、大学生の頃はクイズだけしていました。いろんな人に会い、その人からしか聞けない生の話を聞く、といった機会をもっとつくればよかったと後悔しています。

 10代のみなさんには、いろいろな仕事や活動をしている人と直接会って話し、体験からしか得られないものを取りに行く、そんなことを心がけてほしいです。僕もそういう方法で、もっともっと世界を広げていこうと思っています。(聞き手・三島あずさ)

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〈はやし・てるゆき〉タレント(クイズ王)。1997年、富山県生まれ。東京大学在学中、クイズ研究会(TQC)に所属。大学を卒業する今春まで、クイズ番組「東大王」(TBS系)に東大王チームのメンバーとして出演。初出演時の誤答にちなみ、番組では「ジャスコ」のニックネームで親しまれた=遠藤啓生撮影